JOURNAL

SOLIT、イギリス芸術大学主催のFashion Value Challengeにて優勝を果たしました

SOLIT、イギリス芸術大学主催のFashion Value Challengeにて優勝を果た...

イギリス・ロンドン芸術大学を拠点とするCentre for Sustainable Fashion(CSF)が、Kering、IBM、Vogue Businessと共同で開発したサステナビリティに関し毎年開催しているグローバルコンペティション「Fashion Value Challenge」。この度、2023年の勝者として私たちSOLITが選ばれたことをご報告いたします。 WINNERは、Fashion Valuesネットワークのアドバイザーとともに、その事業をさらに発展させるための6ヶ月間の支援を受けられるので、SOLITがもっと多様な人や地球環境のために価値ある存在になれるようブラッシュアップしていきます。   Fashion Values Challengeとは Fashion Valesは、イギリス・ロンドン芸術大学を拠点とするCentre for Sustainable Fashion(CSF)が、Kering、IBM、Vogue Businessと共同で開発した、無料でアクセス可能なサステナビリティに関する教育プログラムです。そのFashion Valuesが開催するグローバルコンペティションが「Fashion Values Challenge(以下、FVC)」であり、ファッションデザイン、メディア、テクノロジーにおけるイノベーションに向けて、変革をもたらす製品やサービス、システムを毎年世界規模で募集しています。 今年は、「ファッションはどのように社会に価値を与えることができるのか」という問いに対するソリューションを募集していました。また、 受賞者2名は、Fashion Valuesネットワークのアドバイザーとともに、そのアイデアをさらに発展させるための6ヶ月間の支援プログラムを受講することができます。日本では、一般社団法人鎌倉サステナビリティ研究所が事務局を務めている。   Centre for Sustainable Fashion:https://www.sustainable-fashion.com/...

SOLIT、イギリス芸術大学主催のFashion Value Challengeにて優勝を果た...

イギリス・ロンドン芸術大学を拠点とするCentre for Sustainable Fashion(CSF)が、Kering、IBM、Vogue Businessと共同で開発したサステナビリティに関し毎年開催しているグローバルコンペティション「Fashion Value Challenge」。この度、2023年の勝者として私たちSOLITが選ばれたことをご報告いたします。 WINNERは、Fashion Valuesネットワークのアドバイザーとともに、その事業をさらに発展させるための6ヶ月間の支援を受けられるので、SOLITがもっと多様な人や地球環境のために価値ある存在になれるようブラッシュアップしていきます。   Fashion Values Challengeとは Fashion Valesは、イギリス・ロンドン芸術大学を拠点とするCentre for Sustainable Fashion(CSF)が、Kering、IBM、Vogue Businessと共同で開発した、無料でアクセス可能なサステナビリティに関する教育プログラムです。そのFashion Valuesが開催するグローバルコンペティションが「Fashion Values Challenge(以下、FVC)」であり、ファッションデザイン、メディア、テクノロジーにおけるイノベーションに向けて、変革をもたらす製品やサービス、システムを毎年世界規模で募集しています。 今年は、「ファッションはどのように社会に価値を与えることができるのか」という問いに対するソリューションを募集していました。また、 受賞者2名は、Fashion Valuesネットワークのアドバイザーとともに、そのアイデアをさらに発展させるための6ヶ月間の支援プログラムを受講することができます。日本では、一般社団法人鎌倉サステナビリティ研究所が事務局を務めている。   Centre for Sustainable Fashion:https://www.sustainable-fashion.com/...

コクヨ、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」始動

コクヨ、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」始動

2022年より協働させていただいているコクヨ株式会社。既に、2024年までのコミットメントとして、インクルーシブデザインが考慮された新商品の品番構成比率20%以上(シリーズベース)にすると掲げられるなど、そのコミットメントとそこに挑むチームの皆さんはとてもかっこよく、共に基本方針の策定やコクヨ独自の定義づけをはじめ、約1年伴走させていただいていただく中でも、私たちも学ぶことがとても多かったのを思い出します。 そんな中、そのコクヨの思想を体現し、それをより体験することのできる場所として、2023年1月よりコクヨ大阪本社1階にて試験稼働していたダイバーシティオフィス「HOWS PARK(ハウズ パーク)」が、2023年6月1日より本格始動しました。 ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」本格始動 実現へ歩み出す 全社の意思決定としてD&I推進を決めたコクヨ、SOLITもともに   ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」とはなにか 今回情報公開されたダイバーシティオフィス「HOWS PARK」は、コクヨの特例子会社であるコクヨKハート株式会社の皆さんと共に、「オフィスをより良くするためのアンケート実施」を皮切りに、そのハードとなるオフィス環境・設備だけでなく、オフィスという空間における関係性づくりや、多様な人が働きやすい状態とはどういうことなのかといったソフト面も重要視し、約1年にわたり共に考える機会づくりやファシリテーション、企画設計を行わせていただきました。 コクヨのメインフィールドである「働く」・「学ぶ」・「暮らす」の価値観やそのあり方は日々変わっていきます。その変化の中でも、変わらず「コミュニケーションをとりたいがきっかけがない」「日常の中でお互いの意見や気持ちが吐露できる関係性があったほうがいい」という気持ちは存在します。 それは、コクヨ株式会社と、特例子会社であるコクヨKハートも同じ。いわば完璧なオフィス空間や、完璧な関係性などなく、正解も前例もない中で、度重なる議論を経て生み出されたのが「HOWS PARK」です。 これは、私たちSOLITやパートナーのmorning after cutting my hair,Inc.が中心となったものではなく、なによりも全てはプロジェクトリーダーのKayさん(今回のプロジェクトの全体を全て調整し、細かなケアもしてくださいました!)をはじめコクヨのみなさんやコクヨKハートのみなさんが、対話することを諦めず、そして答えのない「多様性」に対してコクヨ独自の答えを紡ぎ出したからこそできたのだと思います。 「HOWS」という名前が生まれるその背景 今回私たちは、コクヨのダイバーシティオフィス(当時はまだ名前がなかった)が、この世界の変化の中でどのような存在となるのか、そしてその存在論的意義に対して、どのような倫理や哲学を持つことが必要なのかをまとめることも担当させていただきました。 その中で、コクヨの皆さんやコクヨKハートのみなさんと対話を続ける中で、「社会に向けてどのような存在になるのか」「これからどうあるべきか」「はじめの一歩はどう彩るべきか」の3つの点を中心にお伝えさせていただいています。  一緒に対話をしていく中でうまれた「HOWS」という言葉。ネーミングを担当されたブランディングチームのみなさんから共有された、のは、とても曖昧だけれど共通善たる優しい言葉でした。  一人として同じ人はいないから、Diversityの実現に終わりはない。 一つとして同じ境遇はないから、Inclusionの方法に正解はない。 そんな途方もない複雑さを生きる私たちの手がかりは、 一人ひとりの思いを示す権利と、誰かがそれを聞いてくれる安心感。 いつでも互いの温度を感じられる。どんな繋がり方もよしとする。 その先に待っているのは、きっとワクワクする未来。...

コクヨ、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」始動

2022年より協働させていただいているコクヨ株式会社。既に、2024年までのコミットメントとして、インクルーシブデザインが考慮された新商品の品番構成比率20%以上(シリーズベース)にすると掲げられるなど、そのコミットメントとそこに挑むチームの皆さんはとてもかっこよく、共に基本方針の策定やコクヨ独自の定義づけをはじめ、約1年伴走させていただいていただく中でも、私たちも学ぶことがとても多かったのを思い出します。 そんな中、そのコクヨの思想を体現し、それをより体験することのできる場所として、2023年1月よりコクヨ大阪本社1階にて試験稼働していたダイバーシティオフィス「HOWS PARK(ハウズ パーク)」が、2023年6月1日より本格始動しました。 ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」本格始動 実現へ歩み出す 全社の意思決定としてD&I推進を決めたコクヨ、SOLITもともに   ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」とはなにか 今回情報公開されたダイバーシティオフィス「HOWS PARK」は、コクヨの特例子会社であるコクヨKハート株式会社の皆さんと共に、「オフィスをより良くするためのアンケート実施」を皮切りに、そのハードとなるオフィス環境・設備だけでなく、オフィスという空間における関係性づくりや、多様な人が働きやすい状態とはどういうことなのかといったソフト面も重要視し、約1年にわたり共に考える機会づくりやファシリテーション、企画設計を行わせていただきました。 コクヨのメインフィールドである「働く」・「学ぶ」・「暮らす」の価値観やそのあり方は日々変わっていきます。その変化の中でも、変わらず「コミュニケーションをとりたいがきっかけがない」「日常の中でお互いの意見や気持ちが吐露できる関係性があったほうがいい」という気持ちは存在します。 それは、コクヨ株式会社と、特例子会社であるコクヨKハートも同じ。いわば完璧なオフィス空間や、完璧な関係性などなく、正解も前例もない中で、度重なる議論を経て生み出されたのが「HOWS PARK」です。 これは、私たちSOLITやパートナーのmorning after cutting my hair,Inc.が中心となったものではなく、なによりも全てはプロジェクトリーダーのKayさん(今回のプロジェクトの全体を全て調整し、細かなケアもしてくださいました!)をはじめコクヨのみなさんやコクヨKハートのみなさんが、対話することを諦めず、そして答えのない「多様性」に対してコクヨ独自の答えを紡ぎ出したからこそできたのだと思います。 「HOWS」という名前が生まれるその背景 今回私たちは、コクヨのダイバーシティオフィス(当時はまだ名前がなかった)が、この世界の変化の中でどのような存在となるのか、そしてその存在論的意義に対して、どのような倫理や哲学を持つことが必要なのかをまとめることも担当させていただきました。 その中で、コクヨの皆さんやコクヨKハートのみなさんと対話を続ける中で、「社会に向けてどのような存在になるのか」「これからどうあるべきか」「はじめの一歩はどう彩るべきか」の3つの点を中心にお伝えさせていただいています。  一緒に対話をしていく中でうまれた「HOWS」という言葉。ネーミングを担当されたブランディングチームのみなさんから共有された、のは、とても曖昧だけれど共通善たる優しい言葉でした。  一人として同じ人はいないから、Diversityの実現に終わりはない。 一つとして同じ境遇はないから、Inclusionの方法に正解はない。 そんな途方もない複雑さを生きる私たちの手がかりは、 一人ひとりの思いを示す権利と、誰かがそれを聞いてくれる安心感。 いつでも互いの温度を感じられる。どんな繋がり方もよしとする。 その先に待っているのは、きっとワクワクする未来。...

ついに始動!REPAIR / REMAKE TOUR レポート

ついに始動!REPAIR / REMAKE TOUR レポート

私たちSOLITは、多様な人がそれぞれの好みや体型などにあわせて自由に選択できる服を作っています。あなたの身体のサイズや、あなたが着たいスタイルで着れるように、あなたのために新しい服を作り出しています。しかし、すでに持っているもので、色や形やデザインは好きなのだけど、身体や心の状態などによって着づらい・着れないというお悩みがある方も。 そこで、今回は、ファッションの本当の価値を捉え直し、より多くの人がファッションを楽しむことができるようにという願いを込めた企画「PROJECT AWAKE」の一環として、「REPAIR / REMAKE TOUR」第一回を開催しました! PROJECT AWAKEについてはこちら 記念すべき第一回の会場としてご協力いただいたのは、これまでともに研究・開発を行ってきた岸和田リハビリテーション病院のみなさん。今回は、入院・通院されている方のお気に入りのお衣服を、SOLITがこれまで開発してきたツールを使って、より着やすく、そして着たくなるようにリペアしてきました! お気に入りのシャツやパジャマを、より着やすく 大好きな桜色のお花のパジャマをもっと楽に着たい 1人目は、桜色のお花があしらわれた華やかなパジャマをお持ちのAさん。こちらは一般的なボタンがついていたのですが、ボタンがつまみにくく、着脱が難しいという課題を抱えていらっしゃいました。 ストレスなく着れるようにするために、SOLIT!の代名詞ともいうべき、マグネットボタンへの付け替えを行いました。ボタン同士を近づけるだけで留まってくれるマグネットボタンにしたことで、サポートも必要なく、ご自身で簡単に着ていただける様になりました! 息子からもらった赤いチェックのシャツを着こなしたい 2人目は、赤いチェックのシャツと、黒のフリースジャケットに着にくさを感じていたBさん。どこが使いにくいのか、じっくりとお話しを伺いながら、課題を解決できるようにリペアを施しました。 まず、チェック柄のシャツ。こちらはやはりボタンがつまみにくく、着るのも脱ぐのもかなり時間がかかってしまうとのことでした。そこでAさんと同じようにマグネットボタンに変更し、片手で簡単に着脱できるようになりました!  他にも、黒のフリースジャケットは、ファスナーが固く、着脱しにくいとのこと。つまみを上下させる時の固さはファスナー全体を取り替えなければいけないため、今回は対応できませんでしたが、つまみの部分には、指を引っ掛けるだけで上下させることのできるジッパータブをつけることで、指でつまんで引っ張らなくてもファスナーを動かせる様に。    最後は、小さなお花柄が素敵なパジャマをお持ちになったCさん。可愛らしい紫色のボタンは、おしゃれな反面、着脱がしにくいという課題がありました。マグネットボタンの特徴として、表面のボタンは一般的なボタンのまま、留まるところだけマグネットにできるという点があります。その特徴を存分に生かして、着やすさとファッション性を同時に叶えられるリペアとなりました!   REPAIR / REMAKE TOURを終えて 今回リペアしたお衣服の持ち主の患者さんや、担当のセラピストさんから、こんな感想をいただきました!  本人、ご家族とも気に入ってくれているようで、リペアして以降ずっとその服を使ってくれています ボタンを外すのが、楽に行えるようになり、時間も短縮できています リペア後数日間、(患者さんが毎日)「良い」と話してくれていました  今回は、ボタンをマグネットボタンに変えたり、ファスナーにタブをつけたりと、とてもシンプルなリペアがメインでしたが、 それでも、着脱が楽になったり、かかる時間が短くなったり、「服を着る」という動作のハードルを下げられるということがわかりました。...

ついに始動!REPAIR / REMAKE TOUR レポート

私たちSOLITは、多様な人がそれぞれの好みや体型などにあわせて自由に選択できる服を作っています。あなたの身体のサイズや、あなたが着たいスタイルで着れるように、あなたのために新しい服を作り出しています。しかし、すでに持っているもので、色や形やデザインは好きなのだけど、身体や心の状態などによって着づらい・着れないというお悩みがある方も。 そこで、今回は、ファッションの本当の価値を捉え直し、より多くの人がファッションを楽しむことができるようにという願いを込めた企画「PROJECT AWAKE」の一環として、「REPAIR / REMAKE TOUR」第一回を開催しました! PROJECT AWAKEについてはこちら 記念すべき第一回の会場としてご協力いただいたのは、これまでともに研究・開発を行ってきた岸和田リハビリテーション病院のみなさん。今回は、入院・通院されている方のお気に入りのお衣服を、SOLITがこれまで開発してきたツールを使って、より着やすく、そして着たくなるようにリペアしてきました! お気に入りのシャツやパジャマを、より着やすく 大好きな桜色のお花のパジャマをもっと楽に着たい 1人目は、桜色のお花があしらわれた華やかなパジャマをお持ちのAさん。こちらは一般的なボタンがついていたのですが、ボタンがつまみにくく、着脱が難しいという課題を抱えていらっしゃいました。 ストレスなく着れるようにするために、SOLIT!の代名詞ともいうべき、マグネットボタンへの付け替えを行いました。ボタン同士を近づけるだけで留まってくれるマグネットボタンにしたことで、サポートも必要なく、ご自身で簡単に着ていただける様になりました! 息子からもらった赤いチェックのシャツを着こなしたい 2人目は、赤いチェックのシャツと、黒のフリースジャケットに着にくさを感じていたBさん。どこが使いにくいのか、じっくりとお話しを伺いながら、課題を解決できるようにリペアを施しました。 まず、チェック柄のシャツ。こちらはやはりボタンがつまみにくく、着るのも脱ぐのもかなり時間がかかってしまうとのことでした。そこでAさんと同じようにマグネットボタンに変更し、片手で簡単に着脱できるようになりました!  他にも、黒のフリースジャケットは、ファスナーが固く、着脱しにくいとのこと。つまみを上下させる時の固さはファスナー全体を取り替えなければいけないため、今回は対応できませんでしたが、つまみの部分には、指を引っ掛けるだけで上下させることのできるジッパータブをつけることで、指でつまんで引っ張らなくてもファスナーを動かせる様に。    最後は、小さなお花柄が素敵なパジャマをお持ちになったCさん。可愛らしい紫色のボタンは、おしゃれな反面、着脱がしにくいという課題がありました。マグネットボタンの特徴として、表面のボタンは一般的なボタンのまま、留まるところだけマグネットにできるという点があります。その特徴を存分に生かして、着やすさとファッション性を同時に叶えられるリペアとなりました!   REPAIR / REMAKE TOURを終えて 今回リペアしたお衣服の持ち主の患者さんや、担当のセラピストさんから、こんな感想をいただきました!  本人、ご家族とも気に入ってくれているようで、リペアして以降ずっとその服を使ってくれています ボタンを外すのが、楽に行えるようになり、時間も短縮できています リペア後数日間、(患者さんが毎日)「良い」と話してくれていました  今回は、ボタンをマグネットボタンに変えたり、ファスナーにタブをつけたりと、とてもシンプルなリペアがメインでしたが、 それでも、着脱が楽になったり、かかる時間が短くなったり、「服を着る」という動作のハードルを下げられるということがわかりました。...

ファッションブランドと病院・研究所との協働、その研究内容と商品開発

ファッションブランドと病院・研究所との協働、その研究内容と商品開発

SOLITと病院と研究所の連携 私たちSOLITでは、障がいや身体的特徴を問わず、それぞれの好みや体型に合わせてファッションを楽しめるような衣服を作っています。これまでもわたしたちの衣服開発は、SOLITの理学療法士・作業療法士など、リハビリテーションを専門とするメンバーや、服に関して違和感や課題を感じてきた、いわゆる「当事者」の仲間と一緒におこなってきました。 2021年5月からは、医療法人えいしん会岸和田リハビリテーション病院、SOLIT株式会社、SDX研究所は、岸和田リハビリテーション病院に入院している入院患者または訪問リハビリテーション利用者を主な対象とし、ファッションに対する希望を実現し、臨床データを蓄積・応用することで個別性と多様性のあるサービスと商品開発を実施しています。 今回はこれまでの研究やどのように商品への反映に至ったのか、具体的に事例を合わせてご紹介させていただきます。 協働開始時のプレスリリースはこちら   これまでの具体的な研究の進め方 協働開始から約2年間、病院での入院患者さま・訪問リハビリテーション利用者のみなさまと一緒に具体的な課題解決に向けて、以下のような段階に分けて調査・研究を進めています。 具体的には、ボタンやファスナーを使った衣類の着脱に課題を感じる方が多いため、マグネットボタンのリペアやジッパータブを使用するなどの提案を実施し、患者さまとセラピストで意志を確認し、現場の状況を踏まえて選択肢を検討します。 5段階の研究・調査 1. 病院でまず10症例ヒアリングや調査をする・患者さま:現状の課題や想いなど、ご自身の意思を伝えていただく・セラピスト:現場を見て動画撮影・メモを取り、対応すべき課題と解決策を検討 2. セラピストとSOLITで該当課題を解決出来るようなツール・パッケージを検討 3. 対応可能なツールとパッケージを選び、実際に実施・検証をする 4. 個別対応する中で症例ごとの研究を深めていく 5. 患者さまご本人がどの対応を希望しているか確認し、実際に介入する 介入の方法 / ツール・パッケージ内容 SOLITの既存パーソナライズプロダクトそのものを使用して対応 SOLITの衣服に活用されているパーツやデザインを使用して対応(例えば、ボタンを変更するなど) SOLITの複数のパーツやデザインをかけあわせたパッケージを使用して対応(例えば、生地やわき周り改善) SOLIT以外のツールやデザインによる対応   研究結果:脳卒中患者に対するマグネットボタン付きシャツでの更衣練習により更衣動作が改善した事例 SOLITのプロダクトを使用した研究結果の学会発表の内容の一部をご紹介します。これは、脳卒中患者に対するマグネットボタン付きシャツでの更衣練習により更衣動作が改善した事例です。...

ファッションブランドと病院・研究所との協働、その研究内容と商品開発

SOLITと病院と研究所の連携 私たちSOLITでは、障がいや身体的特徴を問わず、それぞれの好みや体型に合わせてファッションを楽しめるような衣服を作っています。これまでもわたしたちの衣服開発は、SOLITの理学療法士・作業療法士など、リハビリテーションを専門とするメンバーや、服に関して違和感や課題を感じてきた、いわゆる「当事者」の仲間と一緒におこなってきました。 2021年5月からは、医療法人えいしん会岸和田リハビリテーション病院、SOLIT株式会社、SDX研究所は、岸和田リハビリテーション病院に入院している入院患者または訪問リハビリテーション利用者を主な対象とし、ファッションに対する希望を実現し、臨床データを蓄積・応用することで個別性と多様性のあるサービスと商品開発を実施しています。 今回はこれまでの研究やどのように商品への反映に至ったのか、具体的に事例を合わせてご紹介させていただきます。 協働開始時のプレスリリースはこちら   これまでの具体的な研究の進め方 協働開始から約2年間、病院での入院患者さま・訪問リハビリテーション利用者のみなさまと一緒に具体的な課題解決に向けて、以下のような段階に分けて調査・研究を進めています。 具体的には、ボタンやファスナーを使った衣類の着脱に課題を感じる方が多いため、マグネットボタンのリペアやジッパータブを使用するなどの提案を実施し、患者さまとセラピストで意志を確認し、現場の状況を踏まえて選択肢を検討します。 5段階の研究・調査 1. 病院でまず10症例ヒアリングや調査をする・患者さま:現状の課題や想いなど、ご自身の意思を伝えていただく・セラピスト:現場を見て動画撮影・メモを取り、対応すべき課題と解決策を検討 2. セラピストとSOLITで該当課題を解決出来るようなツール・パッケージを検討 3. 対応可能なツールとパッケージを選び、実際に実施・検証をする 4. 個別対応する中で症例ごとの研究を深めていく 5. 患者さまご本人がどの対応を希望しているか確認し、実際に介入する 介入の方法 / ツール・パッケージ内容 SOLITの既存パーソナライズプロダクトそのものを使用して対応 SOLITの衣服に活用されているパーツやデザインを使用して対応(例えば、ボタンを変更するなど) SOLITの複数のパーツやデザインをかけあわせたパッケージを使用して対応(例えば、生地やわき周り改善) SOLIT以外のツールやデザインによる対応   研究結果:脳卒中患者に対するマグネットボタン付きシャツでの更衣練習により更衣動作が改善した事例 SOLITのプロダクトを使用した研究結果の学会発表の内容の一部をご紹介します。これは、脳卒中患者に対するマグネットボタン付きシャツでの更衣練習により更衣動作が改善した事例です。...

回復期リハビリテーション・研究開発した製品についての学会発表に行ってきました

回復期リハビリテーション・研究開発した製品についての学会発表に行ってきました

こんにちは!SOLITインターンのあつきです! 2023年2月24日(金)〜25日(土)に岡山県の川崎医療福祉大学で行われた、「回復期リハビリテーション病棟協会 第41回研究大会」にて、現在私たちが共同研究・調査を行う岸和田リハビリテーション病院の澤井さんによる発表がありました。 内容は、岸和田リハビリテーション病院、SDX研究所、SOLIT株式会社が協働で研究・開発したリハビリウェア「odekake」について。 「odekake」についての詳細はこちら 医療分野に限らず、学会に参加するのも初めての私が、学会発表をみて何を思ったのか、現場レポートをお届けします!   そもそも、学会ってどんな場所? 開催場所となった川崎医療福祉大学は岡山県倉敷市にあり、今回の学会は9つの会場に分かれて行われました。私たちが開発したリハビリウェア「odekake」について発表された第7会場には、5〜60人ほどが参加されていて、医療福祉従事者の方はもちろん、学生さんたちもいて、みなさん興味深そうに発表を聞いていました。 今回、「odekake」についての発表があったセッションは、「病棟マネジメント」というテーマで、病棟での患者さんへのスムーズな対応について、さまざまな観点から発表されていました。 会場内では質問が飛び交い、研究発表を聞いて「自身の病院でも試してみる」という方もいらっしゃるなど、情報交換の場になっているのだと感じました。   いざ、リハビリウェア「odekake」の学会発表 セッションの中で行われた発表は、ほとんどが病院内での研究について。 インクルーシブファッションを取り扱うSOLITと、病院や施設のデジタルトランスフォーメーション推進や新規事業に携わるSDX研究所との協働開発はかなり異例のようで、みなさん珍しそうに、また興味深そうに聞いていました。 発表では、 中高齢者の87%が「おしゃれに関心がある」(西藤ら,2004)にも関わらず、着やすさが重視されおしゃれで障害に配慮した服は手に入れにくい 入院中の病衣やリハビリウェアは「誰かに会いたいとは思えない」ようなもので、心身へのマイナス要因や社会参加を制限している など、衣服の課題が挙げられました。 それらの課題に対して、伸縮性のある素材や、簡単に着脱できるマグネットボタンなど、「着やすい」し「着たくなる」リハビリウェア「odekake」を導入したことで、患者さんの着衣困難感が低くなり、ファッション性への満足度は高くなったという結果が報告されました! ファッション性が持つ心理面への影響を話している時、会場では頷きながら聞いている方が多く、ファッションが社会参加に重要だと思っている方も多いのだろうと感じました。 また、発表後、「医療分野だけでなく、他分野と共同でやったからこそできた提案だ」とコメントもあり、改めてこの協働研究の意義を感じることができました!   岸和田リハビリテーション病院 澤井さんからみたリハビリウェア 今回、学会発表をしてくださった澤井さんに、実際に病院内で「odekake」を導入してみてどうなのか聞いてみました。 ファッションに興味がある人への影響が大きいだろうと予想していたけど、ファッションに興味がない人でもマグネットなど服のデザインが便利だと喜ぶ人もいるので、いろんな人に、いろんな側面で響くのだと思った「着やすい」と「着たくなる」を同時に実現できるデザインにできたからこそ、より多くの人にとって良いものになったのだろうと思います。 ただリハビリウェアを買う、ということに抵抗のある人も多く、そのような人に対してどのように提案するかが難しいところだと課題も教えてくれました。   私が初めての学会発表で感じたこと...

回復期リハビリテーション・研究開発した製品についての学会発表に行ってきました

こんにちは!SOLITインターンのあつきです! 2023年2月24日(金)〜25日(土)に岡山県の川崎医療福祉大学で行われた、「回復期リハビリテーション病棟協会 第41回研究大会」にて、現在私たちが共同研究・調査を行う岸和田リハビリテーション病院の澤井さんによる発表がありました。 内容は、岸和田リハビリテーション病院、SDX研究所、SOLIT株式会社が協働で研究・開発したリハビリウェア「odekake」について。 「odekake」についての詳細はこちら 医療分野に限らず、学会に参加するのも初めての私が、学会発表をみて何を思ったのか、現場レポートをお届けします!   そもそも、学会ってどんな場所? 開催場所となった川崎医療福祉大学は岡山県倉敷市にあり、今回の学会は9つの会場に分かれて行われました。私たちが開発したリハビリウェア「odekake」について発表された第7会場には、5〜60人ほどが参加されていて、医療福祉従事者の方はもちろん、学生さんたちもいて、みなさん興味深そうに発表を聞いていました。 今回、「odekake」についての発表があったセッションは、「病棟マネジメント」というテーマで、病棟での患者さんへのスムーズな対応について、さまざまな観点から発表されていました。 会場内では質問が飛び交い、研究発表を聞いて「自身の病院でも試してみる」という方もいらっしゃるなど、情報交換の場になっているのだと感じました。   いざ、リハビリウェア「odekake」の学会発表 セッションの中で行われた発表は、ほとんどが病院内での研究について。 インクルーシブファッションを取り扱うSOLITと、病院や施設のデジタルトランスフォーメーション推進や新規事業に携わるSDX研究所との協働開発はかなり異例のようで、みなさん珍しそうに、また興味深そうに聞いていました。 発表では、 中高齢者の87%が「おしゃれに関心がある」(西藤ら,2004)にも関わらず、着やすさが重視されおしゃれで障害に配慮した服は手に入れにくい 入院中の病衣やリハビリウェアは「誰かに会いたいとは思えない」ようなもので、心身へのマイナス要因や社会参加を制限している など、衣服の課題が挙げられました。 それらの課題に対して、伸縮性のある素材や、簡単に着脱できるマグネットボタンなど、「着やすい」し「着たくなる」リハビリウェア「odekake」を導入したことで、患者さんの着衣困難感が低くなり、ファッション性への満足度は高くなったという結果が報告されました! ファッション性が持つ心理面への影響を話している時、会場では頷きながら聞いている方が多く、ファッションが社会参加に重要だと思っている方も多いのだろうと感じました。 また、発表後、「医療分野だけでなく、他分野と共同でやったからこそできた提案だ」とコメントもあり、改めてこの協働研究の意義を感じることができました!   岸和田リハビリテーション病院 澤井さんからみたリハビリウェア 今回、学会発表をしてくださった澤井さんに、実際に病院内で「odekake」を導入してみてどうなのか聞いてみました。 ファッションに興味がある人への影響が大きいだろうと予想していたけど、ファッションに興味がない人でもマグネットなど服のデザインが便利だと喜ぶ人もいるので、いろんな人に、いろんな側面で響くのだと思った「着やすい」と「着たくなる」を同時に実現できるデザインにできたからこそ、より多くの人にとって良いものになったのだろうと思います。 ただリハビリウェアを買う、ということに抵抗のある人も多く、そのような人に対してどのように提案するかが難しいところだと課題も教えてくれました。   私が初めての学会発表で感じたこと...

目に見えない障害や特性を持つ多様な人たちが一緒に働くこと、生きていくこととは

目に見えない障害や特性を持つ多様な人たちが一緒に働くこと、生きていくこととは

人はそれぞれ違った特性や悩み、スキルなどを持っています。だからこそ、その人が活躍できる場や状況もそれぞれ変わってくるはず。組織の中で個性や特性を活かし、多様な人が心地よく働くことができる環境を作るためには、何ができるでしょうか。 多様なメンバーが共存する会社としてできること 多様な人も、動植物も、誰もどれも取り残さない。 そんな社会を目標としているSOLITのメンバーは、国籍、言語、セクシュアリティ、生活環境、年齢、職業・職種が異なる多様な意思決定者が共存しています。だからこそ、社外に向けた取り組みだけではなく社内で多様な人が関わり合い、心地よく働ける環境について日々考え、取り組み続けています。 その取り組みの一環として、「自身の特性把握と対応」についての勉強会を開催しました。きっかけは、働き方に対する現状やそれぞれのメンバーが共に働くメンバーに理解しておいてほしいことについてヒアリングするための「社内アンケート」の実施でした。 アンケートを経て、自己の特性と組織の中での働く方法に関して悩んでいるメンバーが多いことが明らかになり、自分の特性と付き合うために自己分析を重ねて環境調整をしてきた経験をもつメンバーを中心に、自己の特性把握と対処法を学ぶための勉強会を開催することになったのです。 このJOURNALでは、勉強会を通して参加者間で生まれた気付きや学びをご紹介します。自分の特性が原因で悩んでいる方だけでなく、組織の中で人事関連の仕事に携わる方や、身近な人の悩みをサポートしたいと思っている方、仕事選びの転機にいる方にも読んでいただけるとうれしいです。 自分を理解するために、まずは言葉の理解から 自己の特性について把握する上で、最近聞く機会の多い「ADHD」「ASD」「HSP」の言葉について整理をするところから勉強会は始まりました。ADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)は脳の発達障害として扱われる一方で、HSP(Highly Sensitive Person)は医学的な診断名(障害や病気の名前)ではなく、心理学の分野で1つの気質として扱われます。HSPについては、精神医学の分野でその症状を判断する場合には「不安神経症」という別の名前で呼ばれているそうです。 混同されたり並列で並べられたりしがちなこれらですが、そもそもの学問領域も異なれば、生じる困りごとへの対処法についても、一般的にはそれぞれ異なった対策方法が必要だと考えられているようでした。 とはいえ、これらの間にも似たような困りごとが発生することもあれば、複数の特性を持つ方もいます。だからこそ、最初から「ADHD」「ASD」「HSP」などの名称にこだわって個人の性格や特性を単純化したり決めつけたりするのではなく、まずは「何に困っているのか」ということに着目し、向き合うことが大切なのだと勉強会では伝えられました。 実際に登壇して体験談を語ったメンバーは、ADHDとASDの二つの診断を受けている上に、HSPのような気質が感じられることもあるそうです。参加者からも、「自分を見つめる前に名前だけにとらわれて、自分をその症状に寄せてしまっていた」という声や「HSPを言い訳にしてしまい、自分で勝手に線引きしてしまっていた」という声があがりました。 言葉をきっかけに自分を知る 前提となる言葉の定義を知ったうえで、次のステップとしては自分自身を把握することが大切です。ここで以下の3つのポイントを意識すると、次のアクションに繋げやすくなります。 自分は何に困っているのか 自己の特性に悩む人は「ADHD」や「HSP」などといった名前に困っているわけではないはずだと、登壇したメンバーから投げかけがありました。その上で、まずは自己の特性の中の「どんな症状による」「どんな影響に」困っているのか? という部分にフォーカスし、今までの経験や物事に向き合う時の自分の心の状態・感情を振り返りながら明確にしていきます。 例えば、満員電車に乗ったとき、逃げたいと思い涙が出てきた。それはなぜだろう?というように、日報をつけたり日記を書くなどをして記録していきます。敢えて初めから自分の状態や困りごとを診断名や症状名に紐付けないことで、先入観に囚われずより純粋に自分の「状態」「特性/特徴」を理解していくことができます。その日にこなしたタスクや起こった出来事、そのうえで「どこに困ったか」「なぜそう感じたか」等を細かく記録しておくことがおすすめです。 その症状は、なぜ生じているか これまでの出来事1つ1つを振り返ってみると自分が辛くなる場面の傾向が見えてくるかもしれません。記録を振り返るなどして、具体的にどういった場面でどのような症状が起こりやすいかを分析してみると、自分をどう扱っていけばいいのか考える一助になります。 そうした傾向が見えてきた中で、自分で対処ができるのであれば問題がないかもしれません。ただ、それでも限界があるなと感じたり、「なぜそうした困りごとが生じるのか」の部分をより明確にするための1つの手段として、病院での受診が挙げられます。医学的な診断や心理学的な定義づけは、今までの悩みの答え合わせのようなものだとも捉えられるかもしれません。 どんな対処法が適切か 困りごとがおこる原因や傾向がわかることによって、自身の悩みに対して「何をするべきか」がクリアになります。例えば、周りの人の声が気になってしまいオフィスワークが苦手であるなら、リモートワークができる仕事を選ぶといった環境調整をしたり、病院で医師と相談し投薬治療やカウンセリングを受けたりするなど、対処法はさまざまです。 実際、発達障害を原因とした二次障害が生じている場合などは、まずはそちらの治療が必要になるという場合もあるでしょう。何らかの診断を受けていない場合でも、自分の特性を理解すると、それに対する対処法は見えやすくなります。   例えば、特性に対する対処法の例として画像のようなものが挙げられます。もちろん適切な対処法は一人ひとり異なるので、自分にとっては何が最適かを考え、試していく必要があるのだそうです。 (登壇したメンバーが行っている日常的な工夫の一部)  ...

目に見えない障害や特性を持つ多様な人たちが一緒に働くこと、生きていくこととは

人はそれぞれ違った特性や悩み、スキルなどを持っています。だからこそ、その人が活躍できる場や状況もそれぞれ変わってくるはず。組織の中で個性や特性を活かし、多様な人が心地よく働くことができる環境を作るためには、何ができるでしょうか。 多様なメンバーが共存する会社としてできること 多様な人も、動植物も、誰もどれも取り残さない。 そんな社会を目標としているSOLITのメンバーは、国籍、言語、セクシュアリティ、生活環境、年齢、職業・職種が異なる多様な意思決定者が共存しています。だからこそ、社外に向けた取り組みだけではなく社内で多様な人が関わり合い、心地よく働ける環境について日々考え、取り組み続けています。 その取り組みの一環として、「自身の特性把握と対応」についての勉強会を開催しました。きっかけは、働き方に対する現状やそれぞれのメンバーが共に働くメンバーに理解しておいてほしいことについてヒアリングするための「社内アンケート」の実施でした。 アンケートを経て、自己の特性と組織の中での働く方法に関して悩んでいるメンバーが多いことが明らかになり、自分の特性と付き合うために自己分析を重ねて環境調整をしてきた経験をもつメンバーを中心に、自己の特性把握と対処法を学ぶための勉強会を開催することになったのです。 このJOURNALでは、勉強会を通して参加者間で生まれた気付きや学びをご紹介します。自分の特性が原因で悩んでいる方だけでなく、組織の中で人事関連の仕事に携わる方や、身近な人の悩みをサポートしたいと思っている方、仕事選びの転機にいる方にも読んでいただけるとうれしいです。 自分を理解するために、まずは言葉の理解から 自己の特性について把握する上で、最近聞く機会の多い「ADHD」「ASD」「HSP」の言葉について整理をするところから勉強会は始まりました。ADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)は脳の発達障害として扱われる一方で、HSP(Highly Sensitive Person)は医学的な診断名(障害や病気の名前)ではなく、心理学の分野で1つの気質として扱われます。HSPについては、精神医学の分野でその症状を判断する場合には「不安神経症」という別の名前で呼ばれているそうです。 混同されたり並列で並べられたりしがちなこれらですが、そもそもの学問領域も異なれば、生じる困りごとへの対処法についても、一般的にはそれぞれ異なった対策方法が必要だと考えられているようでした。 とはいえ、これらの間にも似たような困りごとが発生することもあれば、複数の特性を持つ方もいます。だからこそ、最初から「ADHD」「ASD」「HSP」などの名称にこだわって個人の性格や特性を単純化したり決めつけたりするのではなく、まずは「何に困っているのか」ということに着目し、向き合うことが大切なのだと勉強会では伝えられました。 実際に登壇して体験談を語ったメンバーは、ADHDとASDの二つの診断を受けている上に、HSPのような気質が感じられることもあるそうです。参加者からも、「自分を見つめる前に名前だけにとらわれて、自分をその症状に寄せてしまっていた」という声や「HSPを言い訳にしてしまい、自分で勝手に線引きしてしまっていた」という声があがりました。 言葉をきっかけに自分を知る 前提となる言葉の定義を知ったうえで、次のステップとしては自分自身を把握することが大切です。ここで以下の3つのポイントを意識すると、次のアクションに繋げやすくなります。 自分は何に困っているのか 自己の特性に悩む人は「ADHD」や「HSP」などといった名前に困っているわけではないはずだと、登壇したメンバーから投げかけがありました。その上で、まずは自己の特性の中の「どんな症状による」「どんな影響に」困っているのか? という部分にフォーカスし、今までの経験や物事に向き合う時の自分の心の状態・感情を振り返りながら明確にしていきます。 例えば、満員電車に乗ったとき、逃げたいと思い涙が出てきた。それはなぜだろう?というように、日報をつけたり日記を書くなどをして記録していきます。敢えて初めから自分の状態や困りごとを診断名や症状名に紐付けないことで、先入観に囚われずより純粋に自分の「状態」「特性/特徴」を理解していくことができます。その日にこなしたタスクや起こった出来事、そのうえで「どこに困ったか」「なぜそう感じたか」等を細かく記録しておくことがおすすめです。 その症状は、なぜ生じているか これまでの出来事1つ1つを振り返ってみると自分が辛くなる場面の傾向が見えてくるかもしれません。記録を振り返るなどして、具体的にどういった場面でどのような症状が起こりやすいかを分析してみると、自分をどう扱っていけばいいのか考える一助になります。 そうした傾向が見えてきた中で、自分で対処ができるのであれば問題がないかもしれません。ただ、それでも限界があるなと感じたり、「なぜそうした困りごとが生じるのか」の部分をより明確にするための1つの手段として、病院での受診が挙げられます。医学的な診断や心理学的な定義づけは、今までの悩みの答え合わせのようなものだとも捉えられるかもしれません。 どんな対処法が適切か 困りごとがおこる原因や傾向がわかることによって、自身の悩みに対して「何をするべきか」がクリアになります。例えば、周りの人の声が気になってしまいオフィスワークが苦手であるなら、リモートワークができる仕事を選ぶといった環境調整をしたり、病院で医師と相談し投薬治療やカウンセリングを受けたりするなど、対処法はさまざまです。 実際、発達障害を原因とした二次障害が生じている場合などは、まずはそちらの治療が必要になるという場合もあるでしょう。何らかの診断を受けていない場合でも、自分の特性を理解すると、それに対する対処法は見えやすくなります。   例えば、特性に対する対処法の例として画像のようなものが挙げられます。もちろん適切な対処法は一人ひとり異なるので、自分にとっては何が最適かを考え、試していく必要があるのだそうです。 (登壇したメンバーが行っている日常的な工夫の一部)  ...