JOURNAL

SOLITが描く「東洋思想的インクルーシブデザイン」とは

SOLITが描く「東洋思想的インクルーシブデザイン」とは

SOLITが伝えきれていない、核となる思想 2023年、海外からの声を受けてSOLITの思想を改めて整理した 私たちは、最近、日本を中心として香港やイギリスなど、海外に向けた活動を徐々に広めています。その取り組みの中で、”日本人”同士の会話だからこそ、共通言語や共通認識の土台の上で伝えられていた部分が、言語の壁を越え、国や文化の違いを越えたときに、伝わりにくい瞬間があるということに気づきました。 特に、日本の文化や歴史に紐付く「東洋思想」的な考え方であったり、事業やサービス・デザインに関する意思決定の背景にある「哲学」「思想」の部分。従来の産業が生み出してきた課題に対する違和感とそれをどのように解決しているのかといった「HOW」の部分はこれまでも伝えてきたものの、海外のパートナーやクライアントと接する機会が多くなった2023年において、それがどのような哲学・思想のもとで行われたものなのかを、ちゃんと伝えきれていないということを感じました。 そこで、私たちのメンターとなってくださる方々と日々話し合う中で、同じような言葉を使って事業をされている方々と実はその根本としての考え方が違うことや、抽象的な言語としては同じものだったとしてもそれが「どこまでを包括しようとしているのか」といった視点が異なることに気づき、それを明言しなければ相手には伝わらないし、それこそ、そこが私たちの強みでもあると捉え直し、考えまとめることにしました。 キーワードは、「東洋思想的インクルーシブデザイン」「多元性」 私たちの根本に持つ思想として、キーワードに挙げるならば大きく2つあることを捉え直しました。1つは、「東洋思想的インクルーシブデザイン」。もう一つは、「多元性」。 私たちの団体に少しでも関わってくださった方々や、一緒にお仕事をさせていただいた企業の皆様にはこうした側面を講演でお伝えしたり、提案の中に含んでお伝えしたこともあったかもしれませんが、改めて言語化をしてみると、この2つの言葉に集約されるのではないかと行きつきました。 多様性や、サステナビリティ、ダイバーシティー&インクルージョンというテーマに関心がある人であればよく耳にすることがある「インクルーシブデザイン」。1970年代からバリアフリーや、ユニバーサルデザインなど多くの新たなデザインのスキームや考え方が広まり、今や日本でも障害や福祉のフィールドでデザインが浸透されることも増えてきました。 「インクルーシブデザイン」という言葉自体も広まりつつあるものの、やはり言葉だけが広まってしまうことが多く、その本質をとらえぬまま伝わってしまっていたり、人によって描くイメージが異なっている状況もあるのではないかと感じます。そして、改めて私たちが描く「インクルーシブデザイン」について考えた時、少し特徴があるなと気づくことがあったため、次の章からはこれについて説明したいと思います。 東洋思想的インクルーシブデザインと多元性 そもそもインクルーシブデザインとは何なのか? イギリス・ロンドンにあるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国王立芸術大学院)のロジャー・コールマン教授が発祥した「インクルーシブデザイン」。デザインシンキングや、ユニバーサルデザインと異なる箇所として、社会的マイノリティーや課題当事者をヒアリング対象者として話を聞くことにとどまらず、企画段階から共にデザインを行っていくということを重要視しているものです。 ただアンケートを取ったり、ヒアリングをするだけだと、その人の中で顕在化しているニーズ、自覚のある部分に対してはアプローチすることができますが、潜在的なニーズ、本人の中の「当たり前」に入ってしまっている無自覚の部分などにアプローチすることは難しく、また関係構築が未熟なままの実施だと、その場で本心を出し切ることは難しく、正しい意見がもらえないといった難しさが出てくることもあります。 インクルーシブデザインでは、心理的安全性を担保された上で、チームの一員として議論の上流から参加し、経営判断や意思決定の土台となる部分にも対等な存在・意見として発言が組み込まれていく「関係性の構築」を前提に場を構築していきます。これによって、一種の機会均等や人権の確保を担うといった側面もあれば、企画段階から当事者の声が入ることでデザイナー本意の的外れなアウトプットを避けられるということ、またニーズの前のシーズの段階から確認でき、イノベーションの種を見つけることができるといった側面が存在しています。 「東洋思想的インクルーシブデザイン」とは何か 私たちはこの素晴らしい「インクルーシブデザイン」の捉え方や手法に敬意を示しています。しかし、一方で、一般的には「高齢者、障がい者、外国人など、従来デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法」とされているインクルーシブデザインは、その前提に「二元論」や「カテゴライズ」する思想が存在していることに気がつきました。 これは、近代西洋で起こった産業革命と資本主義の誕生以降に加速した「物事を分類することによって把握しやすくし、効率化することでスピードを速める」といった文明や産業のあり方が関係しているように思います。英語の表現としても”「Design for〜」から「Design with〜」へ”とされることがあるのですが、いくらプロセスの上流から巻き込んだとしても、結局「A design with B」といったAとBが交わることのない限界がそこにあるように感じます。本来は、二元論的な考え方をする必要もなく、ただただ「Diverse people design.」であるはずです。そこにはwithもforも必要ありません。 日本では茶道の精神の中に「主客一体」という考え方があります。私たちSOLITが描く「インクルーシブデザイン」は、どちらかというとこうした発想に近く、二元論やカテゴライズさえ存在しない、個々の存在やその空間における多元性を前提として「共に在る」ことで創っていく世界をイメージしているのだと感じるようになりました。 西洋が生み出した「インクルーシブデザイン」は常にアップデートされていますが、その根本に存在する二元論に違和感を持つならば、私たちSOLITは自分達が目指す世界に向けた私たちなりのインクルーシブデザインを確立させていく必要があると捉えました。それは「主客一体」の精神にもあるような、生まれながらにして触れてきた価値観や文化に基づく、人間としてのOSに組み込まれている東洋思想的な考え方に紐づくのではないかと感じています。 二元論に対する違和感は、主人と客人ではなく、主客が共にその場を創るのだという「主客一体」や、足るを知るという心構えがあり、そこに区別することなどできないといった考え方が身近に存在している中で生きてきたからこそ、感じるものなのかもしれません。 私たちSOLITでは、従来の日本が捉えてきたこの東洋思想的なインクルーシブデザインこそが、本当の意味で多様な人を包括しそして多様な人が自分らしく生きていくために必要なアウトプットを生み出すにおいて必要なのではないかと思っています。 「多元性」を前提とすることの重要性...

SOLITが描く「東洋思想的インクルーシブデザイン」とは

SOLITが伝えきれていない、核となる思想 2023年、海外からの声を受けてSOLITの思想を改めて整理した 私たちは、最近、日本を中心として香港やイギリスなど、海外に向けた活動を徐々に広めています。その取り組みの中で、”日本人”同士の会話だからこそ、共通言語や共通認識の土台の上で伝えられていた部分が、言語の壁を越え、国や文化の違いを越えたときに、伝わりにくい瞬間があるということに気づきました。 特に、日本の文化や歴史に紐付く「東洋思想」的な考え方であったり、事業やサービス・デザインに関する意思決定の背景にある「哲学」「思想」の部分。従来の産業が生み出してきた課題に対する違和感とそれをどのように解決しているのかといった「HOW」の部分はこれまでも伝えてきたものの、海外のパートナーやクライアントと接する機会が多くなった2023年において、それがどのような哲学・思想のもとで行われたものなのかを、ちゃんと伝えきれていないということを感じました。 そこで、私たちのメンターとなってくださる方々と日々話し合う中で、同じような言葉を使って事業をされている方々と実はその根本としての考え方が違うことや、抽象的な言語としては同じものだったとしてもそれが「どこまでを包括しようとしているのか」といった視点が異なることに気づき、それを明言しなければ相手には伝わらないし、それこそ、そこが私たちの強みでもあると捉え直し、考えまとめることにしました。 キーワードは、「東洋思想的インクルーシブデザイン」「多元性」 私たちの根本に持つ思想として、キーワードに挙げるならば大きく2つあることを捉え直しました。1つは、「東洋思想的インクルーシブデザイン」。もう一つは、「多元性」。 私たちの団体に少しでも関わってくださった方々や、一緒にお仕事をさせていただいた企業の皆様にはこうした側面を講演でお伝えしたり、提案の中に含んでお伝えしたこともあったかもしれませんが、改めて言語化をしてみると、この2つの言葉に集約されるのではないかと行きつきました。 多様性や、サステナビリティ、ダイバーシティー&インクルージョンというテーマに関心がある人であればよく耳にすることがある「インクルーシブデザイン」。1970年代からバリアフリーや、ユニバーサルデザインなど多くの新たなデザインのスキームや考え方が広まり、今や日本でも障害や福祉のフィールドでデザインが浸透されることも増えてきました。 「インクルーシブデザイン」という言葉自体も広まりつつあるものの、やはり言葉だけが広まってしまうことが多く、その本質をとらえぬまま伝わってしまっていたり、人によって描くイメージが異なっている状況もあるのではないかと感じます。そして、改めて私たちが描く「インクルーシブデザイン」について考えた時、少し特徴があるなと気づくことがあったため、次の章からはこれについて説明したいと思います。 東洋思想的インクルーシブデザインと多元性 そもそもインクルーシブデザインとは何なのか? イギリス・ロンドンにあるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国王立芸術大学院)のロジャー・コールマン教授が発祥した「インクルーシブデザイン」。デザインシンキングや、ユニバーサルデザインと異なる箇所として、社会的マイノリティーや課題当事者をヒアリング対象者として話を聞くことにとどまらず、企画段階から共にデザインを行っていくということを重要視しているものです。 ただアンケートを取ったり、ヒアリングをするだけだと、その人の中で顕在化しているニーズ、自覚のある部分に対してはアプローチすることができますが、潜在的なニーズ、本人の中の「当たり前」に入ってしまっている無自覚の部分などにアプローチすることは難しく、また関係構築が未熟なままの実施だと、その場で本心を出し切ることは難しく、正しい意見がもらえないといった難しさが出てくることもあります。 インクルーシブデザインでは、心理的安全性を担保された上で、チームの一員として議論の上流から参加し、経営判断や意思決定の土台となる部分にも対等な存在・意見として発言が組み込まれていく「関係性の構築」を前提に場を構築していきます。これによって、一種の機会均等や人権の確保を担うといった側面もあれば、企画段階から当事者の声が入ることでデザイナー本意の的外れなアウトプットを避けられるということ、またニーズの前のシーズの段階から確認でき、イノベーションの種を見つけることができるといった側面が存在しています。 「東洋思想的インクルーシブデザイン」とは何か 私たちはこの素晴らしい「インクルーシブデザイン」の捉え方や手法に敬意を示しています。しかし、一方で、一般的には「高齢者、障がい者、外国人など、従来デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法」とされているインクルーシブデザインは、その前提に「二元論」や「カテゴライズ」する思想が存在していることに気がつきました。 これは、近代西洋で起こった産業革命と資本主義の誕生以降に加速した「物事を分類することによって把握しやすくし、効率化することでスピードを速める」といった文明や産業のあり方が関係しているように思います。英語の表現としても”「Design for〜」から「Design with〜」へ”とされることがあるのですが、いくらプロセスの上流から巻き込んだとしても、結局「A design with B」といったAとBが交わることのない限界がそこにあるように感じます。本来は、二元論的な考え方をする必要もなく、ただただ「Diverse people design.」であるはずです。そこにはwithもforも必要ありません。 日本では茶道の精神の中に「主客一体」という考え方があります。私たちSOLITが描く「インクルーシブデザイン」は、どちらかというとこうした発想に近く、二元論やカテゴライズさえ存在しない、個々の存在やその空間における多元性を前提として「共に在る」ことで創っていく世界をイメージしているのだと感じるようになりました。 西洋が生み出した「インクルーシブデザイン」は常にアップデートされていますが、その根本に存在する二元論に違和感を持つならば、私たちSOLITは自分達が目指す世界に向けた私たちなりのインクルーシブデザインを確立させていく必要があると捉えました。それは「主客一体」の精神にもあるような、生まれながらにして触れてきた価値観や文化に基づく、人間としてのOSに組み込まれている東洋思想的な考え方に紐づくのではないかと感じています。 二元論に対する違和感は、主人と客人ではなく、主客が共にその場を創るのだという「主客一体」や、足るを知るという心構えがあり、そこに区別することなどできないといった考え方が身近に存在している中で生きてきたからこそ、感じるものなのかもしれません。 私たちSOLITでは、従来の日本が捉えてきたこの東洋思想的なインクルーシブデザインこそが、本当の意味で多様な人を包括しそして多様な人が自分らしく生きていくために必要なアウトプットを生み出すにおいて必要なのではないかと思っています。 「多元性」を前提とすることの重要性...

SOLITのファッションモデルの集合写真

バンクーバー・ファッション・ウィークへ共に挑戦するモデルが決定

多様性がコンセプトのバンクーバーファッションウィークのモデルが決定 バンクーバー・ファッション・ウィーク(以下、VFW)は、NYに次いで北米で2番目に大きな国際的ファッションイベントで、多国籍・多文化の都市・バンクーバーで開催されます。世界中から業界関係者や革新的なデザイナーが集まる唯一無二のファッションショーであり、世界のファッションウィークの中でも成長が著しく、パリ・ロンドン・ミラノ・ニューヨークの舞台に向けて若手デザイナーが世界で活躍するためのステージにもなっていると言われています。 今回、私たちSOLITはVFWより直接のオファーを受け、2024年4月のコレクションへ出場することを決めました。 「多様性」というコンセプトのVFWのコレクションには、多様性を受け入れファッションが社会に対してどのように価値を生み出していくのか、目の当たりにしようとされる方も参加者として多く集まります。そして、SOLITが描く「オールインクルーシブ」をさらに広く伝える機会と捉えました。 今回、私たちSOLITが準備するランウェイのテーマは「SOLIT! Duh.」。スラングで「めちゃくちゃやばい - え、そんなの当たり前でしょ?」といったように、多様な人がそれぞれの表現をすることが当たり前になった世界を見せたいと考えています。 また、本来は、バンクーバーファッションウィークからの招待であることから、必要な人数の全てのモデルはVFW事務局が提供してくださいます。しかし、私たちがこれまで作ってきたプロダクトは「多様な人が自分の好みや体型にあわせて、自分で選択することを可能にした」ことに価値があり、その可変性・拡張性を表現するにおいては一般的なモデル体型の人や、訓練されたランウェイウォーキングができる人だけに着ていただくのではその価値が伝わらないと感じました。 もっと多様な人に着てほしい。 このSOLITの思想や哲学をもとに、チームの一員として、障害、セクシュアリティ、信仰、体型、国籍、年齢、経験などに関係なく、多様な人とともにランウェイを彩りたいと思い、国内外からモデルの公募をし、今回この8人のモデルの皆さんと共に挑戦することを決めました。 時代をつくるコレクションの舞台だからこそ、私たちが求める社会のあり方とファッションの姿を伝えることが必要だと考え、モデルの仲間たちとともに、SOLITは世界の舞台に立ちます。   SOLITの7名の多様なモデル 9月に実施したモデルの一般公募などで最終的に選ばれた、VFWに共に出場するモデル7名をご紹介します。 バンクーバーファッションウィークへむけて作り上げていくSOLITの表現を、最終的に会場に来場された方々へ届け、伝えてくれるのが今回のモデルです。実際には、ショー全体で15人のモデルが出場する中、SOLITのメンバーとしてともに企画段階から演出やプロダクト、表現を議論しながら伝えていく仲間として半年かけて一緒に作り上げるのがこの7人です。 7人のそれぞれの想いを知った上で、ぜひ私たちの挑戦を応援していただけたら嬉しいです。   髙居 千紘(たかい かずひろ) デフアスリートとして聞こえない子どもたちに希望を与える プロフィール コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社所属デフアスリート。1997年6月7日生まれ。滋賀県出身、神奈川県在住。先天性感音性難聴。2020年4月にコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社に入社。業務と両立しながら陸上競技の走り高跳びと十種競技のデフ(聴覚障がい)アスリートとして活動。2025年東京デフリンピックへの出場、メダル獲得を目指している。 自身の強み、魅力、特徴 先天性感音性難聴。口話と手話でのコミュニケーションが可能。 運動神経は抜群で、性格は負けず嫌い。 走り高跳びでは、全国聾学校陸上競技大会で3連覇。世界ろう大会で6位、自己記録は1m91cm。...

バンクーバー・ファッション・ウィークへ共に挑戦するモデルが決定

多様性がコンセプトのバンクーバーファッションウィークのモデルが決定 バンクーバー・ファッション・ウィーク(以下、VFW)は、NYに次いで北米で2番目に大きな国際的ファッションイベントで、多国籍・多文化の都市・バンクーバーで開催されます。世界中から業界関係者や革新的なデザイナーが集まる唯一無二のファッションショーであり、世界のファッションウィークの中でも成長が著しく、パリ・ロンドン・ミラノ・ニューヨークの舞台に向けて若手デザイナーが世界で活躍するためのステージにもなっていると言われています。 今回、私たちSOLITはVFWより直接のオファーを受け、2024年4月のコレクションへ出場することを決めました。 「多様性」というコンセプトのVFWのコレクションには、多様性を受け入れファッションが社会に対してどのように価値を生み出していくのか、目の当たりにしようとされる方も参加者として多く集まります。そして、SOLITが描く「オールインクルーシブ」をさらに広く伝える機会と捉えました。 今回、私たちSOLITが準備するランウェイのテーマは「SOLIT! Duh.」。スラングで「めちゃくちゃやばい - え、そんなの当たり前でしょ?」といったように、多様な人がそれぞれの表現をすることが当たり前になった世界を見せたいと考えています。 また、本来は、バンクーバーファッションウィークからの招待であることから、必要な人数の全てのモデルはVFW事務局が提供してくださいます。しかし、私たちがこれまで作ってきたプロダクトは「多様な人が自分の好みや体型にあわせて、自分で選択することを可能にした」ことに価値があり、その可変性・拡張性を表現するにおいては一般的なモデル体型の人や、訓練されたランウェイウォーキングができる人だけに着ていただくのではその価値が伝わらないと感じました。 もっと多様な人に着てほしい。 このSOLITの思想や哲学をもとに、チームの一員として、障害、セクシュアリティ、信仰、体型、国籍、年齢、経験などに関係なく、多様な人とともにランウェイを彩りたいと思い、国内外からモデルの公募をし、今回この8人のモデルの皆さんと共に挑戦することを決めました。 時代をつくるコレクションの舞台だからこそ、私たちが求める社会のあり方とファッションの姿を伝えることが必要だと考え、モデルの仲間たちとともに、SOLITは世界の舞台に立ちます。   SOLITの7名の多様なモデル 9月に実施したモデルの一般公募などで最終的に選ばれた、VFWに共に出場するモデル7名をご紹介します。 バンクーバーファッションウィークへむけて作り上げていくSOLITの表現を、最終的に会場に来場された方々へ届け、伝えてくれるのが今回のモデルです。実際には、ショー全体で15人のモデルが出場する中、SOLITのメンバーとしてともに企画段階から演出やプロダクト、表現を議論しながら伝えていく仲間として半年かけて一緒に作り上げるのがこの7人です。 7人のそれぞれの想いを知った上で、ぜひ私たちの挑戦を応援していただけたら嬉しいです。   髙居 千紘(たかい かずひろ) デフアスリートとして聞こえない子どもたちに希望を与える プロフィール コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社所属デフアスリート。1997年6月7日生まれ。滋賀県出身、神奈川県在住。先天性感音性難聴。2020年4月にコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社に入社。業務と両立しながら陸上競技の走り高跳びと十種競技のデフ(聴覚障がい)アスリートとして活動。2025年東京デフリンピックへの出場、メダル獲得を目指している。 自身の強み、魅力、特徴 先天性感音性難聴。口話と手話でのコミュニケーションが可能。 運動神経は抜群で、性格は負けず嫌い。 走り高跳びでは、全国聾学校陸上競技大会で3連覇。世界ろう大会で6位、自己記録は1m91cm。...

人と環境と共にあるための紙と印刷戦略

人と環境と共にあるための紙と印刷戦略

森林は空気を浄化し、水を浄化し、そして野生動物を保護する。その多くの機能を持つ重要な資源であるのにもかかわらず、森林の減少は現在も続いています。 私たちSOLITは、誰もどれも取り残さない未来のため、資源保護に対する取り組みの一環として、印刷をしないことも提案される印刷・紙に関する専門家である伸和印刷株式会社と共にSOLITの事業活動に使用する紙資源の影響に対処するためのプログラムを実行しました。プログラムの設計は伸和印刷社が先導してくださり実施したものです。   紙の印刷事情、環境へのインパクト 紙の印刷における資源利用量や排出量を考える場合、印刷の紙・インク・輸送・廃棄など様々なプロセスにおいて考慮しなければなりません。例えば、印刷方法では主にオンデマンド印刷とオフセット印刷があります。オンデマンド印刷は、必要な数量だけ印刷するため、在庫を削減し、紙やインクの無駄を最小限に抑えることができるため、環境への負荷が低いと言えます。 一方で、大量の印刷に向いていると言われているオフセット印刷はインクと溶剤の使用が比較的多いため、大量印刷では効率的ですが、小ロットの印刷では、余剰の印刷物が出る可能性があり、紙やインクの無駄が生じます。また、製版や印刷工程におけるCO2排出量が比較的多い傾向にあります。 【保存版】森林資源使用量を減らすための紙と印刷チェックリスト   SOLITの印刷・紙利用の結果 今回の取り組みでは、2023年のSOLITの事業活動における印刷物のデータを全て伸和印刷社に共有し、Paper Calculator というツールを利用し、データを算出いたしました。 この方法は、Patagoniaなどの企業も使用しており、原材料の採取や加工から廃棄物処理までのライフサイクル段階に関連する環境への影響を可視化することが可能です。しかし、GHG(温室効果ガスの排出量)のデータについてはPaper Calculatorではなく、別途、環境省が発行している資料「サプライチェーン排出量算定の考え方」に基づいて計算しています。 紙および、印刷の排出量、輸送、配送で配送時の排出量、事業活動からでる排出量で紙くずの排出量をすべて考慮し計算しています。また、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースを元に排出原単位は計算しています。 1)SOLITの印刷物の属性例 契約書・証明書、納品書、その他事務的書類 商品パンフレット・指南書 ポストカード・購入者様用メッセージカード 広告用チラシ 展示用のパネル・イベントご案内用ポスター 商品用POPカード 梱包用シール スティッカー 名刺 2)2023年、SOLITの印刷物における環境へのインパクト 成木 0.6本 総エネルギー量 60万(冷蔵庫0.7個が1年間稼働した分程のエネルギー) GHG 238kg 使用水分量 1873L...

人と環境と共にあるための紙と印刷戦略

森林は空気を浄化し、水を浄化し、そして野生動物を保護する。その多くの機能を持つ重要な資源であるのにもかかわらず、森林の減少は現在も続いています。 私たちSOLITは、誰もどれも取り残さない未来のため、資源保護に対する取り組みの一環として、印刷をしないことも提案される印刷・紙に関する専門家である伸和印刷株式会社と共にSOLITの事業活動に使用する紙資源の影響に対処するためのプログラムを実行しました。プログラムの設計は伸和印刷社が先導してくださり実施したものです。   紙の印刷事情、環境へのインパクト 紙の印刷における資源利用量や排出量を考える場合、印刷の紙・インク・輸送・廃棄など様々なプロセスにおいて考慮しなければなりません。例えば、印刷方法では主にオンデマンド印刷とオフセット印刷があります。オンデマンド印刷は、必要な数量だけ印刷するため、在庫を削減し、紙やインクの無駄を最小限に抑えることができるため、環境への負荷が低いと言えます。 一方で、大量の印刷に向いていると言われているオフセット印刷はインクと溶剤の使用が比較的多いため、大量印刷では効率的ですが、小ロットの印刷では、余剰の印刷物が出る可能性があり、紙やインクの無駄が生じます。また、製版や印刷工程におけるCO2排出量が比較的多い傾向にあります。 【保存版】森林資源使用量を減らすための紙と印刷チェックリスト   SOLITの印刷・紙利用の結果 今回の取り組みでは、2023年のSOLITの事業活動における印刷物のデータを全て伸和印刷社に共有し、Paper Calculator というツールを利用し、データを算出いたしました。 この方法は、Patagoniaなどの企業も使用しており、原材料の採取や加工から廃棄物処理までのライフサイクル段階に関連する環境への影響を可視化することが可能です。しかし、GHG(温室効果ガスの排出量)のデータについてはPaper Calculatorではなく、別途、環境省が発行している資料「サプライチェーン排出量算定の考え方」に基づいて計算しています。 紙および、印刷の排出量、輸送、配送で配送時の排出量、事業活動からでる排出量で紙くずの排出量をすべて考慮し計算しています。また、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースを元に排出原単位は計算しています。 1)SOLITの印刷物の属性例 契約書・証明書、納品書、その他事務的書類 商品パンフレット・指南書 ポストカード・購入者様用メッセージカード 広告用チラシ 展示用のパネル・イベントご案内用ポスター 商品用POPカード 梱包用シール スティッカー 名刺 2)2023年、SOLITの印刷物における環境へのインパクト 成木 0.6本 総エネルギー量 60万(冷蔵庫0.7個が1年間稼働した分程のエネルギー) GHG 238kg 使用水分量 1873L...

バリ島の国際助産院「ブミセハット」の患者向け病衣としてSOLITデザインのプロダクトが導入

バリ島の国際助産院「ブミセハット」の患者向け病衣としてSOLITデザインのプロダクトが導入

インドネシア・バリ島を拠点にされているブミセハット国際助産院。ここは、自然分娩で子どもを産みたい女性たちが世界中から出産しに来る場所であり、助産院にとどまらず、リハビリテーションや子どもたちに向けた教育なども含め活動されています。 なんと、24時間365日無料で産科をはじめとした医療サービスを提供され、その想いに共感する世界中の方々による寄付で成り立っています。 ブミセハット国際助産院のWEBサイト   1着目は、通院されている片麻痺の方に 今回、ブミセハット国際助産院に併設されたリハビリテーションセンターに通院されている方々の中で「衣服の着脱に課題のある方」に対し、SOLITがデザインした病衣を提供するプログラムがスタートしました。このプログラムは、株式会社 日ノ樹様のサポートにより成り立っています。 今回1人目としてプロダクトを受け取ってくださったのは「Ketut Kantun」さん。2年半前に脳卒中を患い、右半身が麻痺され、ブミセハットでのリハビリテーションを続けられている方です。SOLITの既存のアイテムをもとに、インドネシア・バリ島の気候にあわせた素材や形状にカスタマイズ、そしてバリ島の伝統的な衣服や柄に合わせやすい色合いのものを選定し、提供させていただきました。   ブミセハット国際助産院:20年以上、24時間365日、貧しい妊産婦に無償医療を提供するブミセハット国際助産院。創設者の助産師ロビン・リムは、現代のマザーテレサとも言われています。WEB:https://bumisehat.org/ja/   株式会社 日ノ樹:1955年の創業以降、60年以上に渡って商業オフィスビル、マンション棟を保有し賃貸事業を行っている企業。近年はベンチャー企業等への支援事業等も行っており、ispaceなど宇宙ベンチャーへの支援や、Earth Companyなど社会課題解決に向けた支援もされています。WEB:http://www.hi-no-ki.co.jp/  

バリ島の国際助産院「ブミセハット」の患者向け病衣としてSOLITデザインのプロダクトが導入

インドネシア・バリ島を拠点にされているブミセハット国際助産院。ここは、自然分娩で子どもを産みたい女性たちが世界中から出産しに来る場所であり、助産院にとどまらず、リハビリテーションや子どもたちに向けた教育なども含め活動されています。 なんと、24時間365日無料で産科をはじめとした医療サービスを提供され、その想いに共感する世界中の方々による寄付で成り立っています。 ブミセハット国際助産院のWEBサイト   1着目は、通院されている片麻痺の方に 今回、ブミセハット国際助産院に併設されたリハビリテーションセンターに通院されている方々の中で「衣服の着脱に課題のある方」に対し、SOLITがデザインした病衣を提供するプログラムがスタートしました。このプログラムは、株式会社 日ノ樹様のサポートにより成り立っています。 今回1人目としてプロダクトを受け取ってくださったのは「Ketut Kantun」さん。2年半前に脳卒中を患い、右半身が麻痺され、ブミセハットでのリハビリテーションを続けられている方です。SOLITの既存のアイテムをもとに、インドネシア・バリ島の気候にあわせた素材や形状にカスタマイズ、そしてバリ島の伝統的な衣服や柄に合わせやすい色合いのものを選定し、提供させていただきました。   ブミセハット国際助産院:20年以上、24時間365日、貧しい妊産婦に無償医療を提供するブミセハット国際助産院。創設者の助産師ロビン・リムは、現代のマザーテレサとも言われています。WEB:https://bumisehat.org/ja/   株式会社 日ノ樹:1955年の創業以降、60年以上に渡って商業オフィスビル、マンション棟を保有し賃貸事業を行っている企業。近年はベンチャー企業等への支援事業等も行っており、ispaceなど宇宙ベンチャーへの支援や、Earth Companyなど社会課題解決に向けた支援もされています。WEB:http://www.hi-no-ki.co.jp/  

GOOD NATURE HOTEL KYOTOにSOLIT!デザインのルームウェアを導入開始

GOOD NATURE HOTEL KYOTOにSOLIT!デザインのルームウェアを導入開始

環境や健康に配慮した建物が認定される「WELL Building Standard TM(以下WELL認証)」をゴールドランクで取得した、京都・河原町にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」に、SOLITが岸和田リハビリテーション病院とSDX研究所と連携して開発したプロダクトが館内着として導入されました。 館内着の詳細については本ホテルの公式ページへ  「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」は、京都・四条河原町の複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」の4~9階を占め、心と体の心地よさを追求しつつ、地球環境にも配慮したライフスタイル体現型ホテルです。 以前京都で開催したSOLITの試着会・イベントをきっかけに、このようなご縁をいただくことができました。 快適なホテルステイのために。設備を整えたユニバーサルルームも GOOD NATURE HOTEL KYOTOは一人でも多くのお客様に快適なホテルステイをお届けするために車椅子でお越しのお客様やハンディキャップをお持ちの方などに向けたユニバーサルルームもあります。 間口の広いバスルームや、手すりの設置など可能な限り不自由なくお過ごしいただけるよう細かい設備にこだわられ、その一部にSOLITの館内着を導入していただきました。     GOOD NATURE HOTEL KYOTO:京都河原町にあるホテル、宿泊施設。 京都観光にも優れた立地のGOOD NATURE HOTEL...

GOOD NATURE HOTEL KYOTOにSOLIT!デザインのルームウェアを導入開始

環境や健康に配慮した建物が認定される「WELL Building Standard TM(以下WELL認証)」をゴールドランクで取得した、京都・河原町にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」に、SOLITが岸和田リハビリテーション病院とSDX研究所と連携して開発したプロダクトが館内着として導入されました。 館内着の詳細については本ホテルの公式ページへ  「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」は、京都・四条河原町の複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」の4~9階を占め、心と体の心地よさを追求しつつ、地球環境にも配慮したライフスタイル体現型ホテルです。 以前京都で開催したSOLITの試着会・イベントをきっかけに、このようなご縁をいただくことができました。 快適なホテルステイのために。設備を整えたユニバーサルルームも GOOD NATURE HOTEL KYOTOは一人でも多くのお客様に快適なホテルステイをお届けするために車椅子でお越しのお客様やハンディキャップをお持ちの方などに向けたユニバーサルルームもあります。 間口の広いバスルームや、手すりの設置など可能な限り不自由なくお過ごしいただけるよう細かい設備にこだわられ、その一部にSOLITの館内着を導入していただきました。     GOOD NATURE HOTEL KYOTO:京都河原町にあるホテル、宿泊施設。 京都観光にも優れた立地のGOOD NATURE HOTEL...

株主として、仲間として。オールインクルーシブな社会への投資/INTERVIEW

株主として、仲間として。オールインクルーシブな社会への投資/INTERVIEW

持続的な活動を通してオールインクルーシブな社会の実現を目指すわたしたちは、「株式会社」という会社形態を採用しています。しかし、一般的な株主のあり方である「株主第一主義」は採用していません。SOLITは、「”オールインクルーシブな社会”を目指す同志による共同体」であると考えています。一部の特定の人のためのものではありません。 その中で株主は、資金の提供という関わりからビジョンの実現を目指す「仲間」として定義しています。これはいわば、従来の株主第一主義からの脱却であり、あくまで様々な関わり方をする多様なステークホルダーからなる共同体の一員として、目指すビジョンを実現するために共に旗を掲げる同志と捉えています。 これが、話し合いを重ねた中で生まれた、オールインクルーシブな社会における株式のあり方です。 ”やさしい株式”のあり方については以下のJOURNALよりチェックしてみてください。 https://solit-japan.com/blogs/journal/stand_with_stakeholders 今回は、そんなSOLITのやさしい株式のシステムに共感し、金銭的なリターンを考えると一般的には不利な条件の中、投資をしてくださった荻原国啓さんと山本晶一さんにインタビューをさせていただきました。 このJOURNALでは、SOLITへの投資価値をどのようにとらえて投資を決めてくださったのか、株主のお2人が目指す社会とSOLITの関連性などについて、インタビューを通して紐解いていきたいと思います。 多様な人が積極的に挑戦し、貢献できる社会へのアップデートを目指して ゼロトゥワン株式会社 代表取締役社長 荻原国啓さん SOLITが目指す『誰もが「違い」をありのままに受け入れ、健全に共存できる「All inclusive経済圏」の実現』に向けた一員になることができて、本当にワクワクしています。SOLITのビジョンに強く共感したことはもちろん、田中さんとSOLITのチームには、「これからの理想の社会を描くビジョンの明快さ」「社会を感度高くみつめて表現するセンス」「事業に関わるステイクホルダーに対してもビジョンの実現を一緒に目指すために、オールインクルーシブな姿勢を大切にしながら、丁寧かつスピーディーに現実の事業を動かしていく力」「ピュアで志の熱量が高さ」など、素晴らしい力とポテンシャルを持っていると感じ、投資という形で是非とも応援したくなりました。社会の理想を現実にさせるのは、SOLITのようなビジョナリーな起業家とチームだと信じています。SOLITがオールインクルーシブライフスタイル企業として成長し、素晴らしいブランドに育っていくことをこれからも全力で応援しています! ーSOLITの株式のシステムは、短期的な利益追求という面では、不利な条件ともとらえられると思います。そんな中どうしてSOLITへの投資を決めてくださったのでしょうか? わたし自身、エンジェル投資家という立場で起業して間もないスタートアップ企業に投資を行っていて、あたらしい資本主義のあり方であるポスト資本主義的な考え方や世界の体現を積極的に模索しています。そんな中で投資の判断軸として、金銭面だけでなく「自分の目指す社会への想いを事業活動を通じて実践される期待が持てること」や、「一緒にプロセスを試行錯誤できそうなワクワク感」を重要視しています。  たしかに、SOLITの株式のシステムは従来の資本主義的な経済合理性を追求する考え方だけを切り取ると不利な条件と言えるかもしれません。そのため、大きな資金を預かってリターンを最大化させることを第一ミッションとしている投資家にとっては投資対象に当てはまらないこともあると思います。  でも、多様なニーズに応えるSOLITという会社の目指す社会は、従来の資本主義的な考え方をアップデートする事業であり、人間にとって共通善のようなものを体現できると思ったんです。だからこそ、短期ではなく長期で応援するということが自分の役割だと感じ、投資を決めました。 ー荻原さんは投資によってどのような社会の実現を目指しているのでしょうか 20世紀的な価値観だと、世界は与える側と授かる側に分かれていて、授かる側が福祉の対象という色合いが強かったと思っています。それが21世紀になって、いろんな価値観、特徴、タイプを持っている方がダイバーシティとして理解、認識、尊重されるようになってきました。ただ、わたしは、多様な人が理解、認識、尊重された上で、さらに「積極的に参加し貢献できる社会」へのアップデートを目指しています。SOLITの掲げる「オールインクルーシブな社会」はそのような社会を表す言葉だとわたしは理解しています。 ー目指す社会像が、荻原さん自身の活動である、起業家を支援することや一緒に組織を立ち上げることにつながっているということなのですね。 はい、僕の投資対象も支援対象も、社会に必要とされているテーマやアジェンダがあってそれを事業として体現することを目的とした起業家です。そのような事業において大きなテーマとなる「どのように社会性と経済性を両立させていくか」という部分に自分は関わっています。  従来のやり方だと、社会性と経済性がトレードオフの関係にあったと理解しています。社会に良いことをしようとしても利益を生み出すことが難しく、福祉として活動する形になり、反対に利益だけを追求すると社会性が考慮できないというようなイメージです。 しかし、そうではなく社会性も経済性も考慮し持続的に事業を行う方法を見つけ、そこに僕自身が力を添えるという活動をしています。 ゼロトゥワン株式会社:https://www.zto.co.jp/ ーSOLITへ投資することの価値をどのような部分に感じてくださっているのでしょうか? 2つあります。 1つ目は、投資家という立場だけれど、組織の一員として理念の体現やそのプロセスを見ることができる部分だと思っています。SOLITのチーム自体がフラットで不要な上下関係がないんですよね。目指す社会の実現のためにそれぞれが大事な役割を担っている、そんな組織が機能していくプロセスを見られること自体に価値があると感じています。 2つ目は、SOLITが目指す社会に対して、なるべくスムーズに事業として推進できるようサポートする役割を担える部分です。SOLITが概念として理解されるだけでなく、1つのビジネスとして受け入れられなくてはならない。でも、そこに理想と現実とのギャップがあり、そのギャップを埋めるための耐久時間が必要だと思うんです。その耐久時間も継続して事業を続けるためには資金が必要。そのための資金を提供するという役割が自分にあると思うんです。 資金面でのリターンに重きをおいた従来の株主と経営の考え方だと、SOLITの目指す社会像やミッション、ビジョンが歪んでしまうと思うんです。だからこそ、目指す社会に重きをおいた投資の仕方をする自分のような投資家が株主として応援することは、意味があることだと感じています。 ーSOLITの現状に課題を感じるところや、今後のSOLITに期待していることを教えていただけますでしょうか? いかに顧客体験を磨き上げて行くかがポジティブな課題だと感じています。SOLITなら乗り越えられると思いますが、多様なステークホルダーや環境などに配慮して生まれているブランドなので、みんなが少しずつ譲り合い、許容してもらう必要があり、さまざまな葛藤があると思います。利用者や賛同者が確実に増えていけばそのような部分に投資することもできると思うので、順調な葛藤として乗り越えていく必要があると思っていますし、期待をしています。...

株主として、仲間として。オールインクルーシブな社会への投資/INTERVIEW

持続的な活動を通してオールインクルーシブな社会の実現を目指すわたしたちは、「株式会社」という会社形態を採用しています。しかし、一般的な株主のあり方である「株主第一主義」は採用していません。SOLITは、「”オールインクルーシブな社会”を目指す同志による共同体」であると考えています。一部の特定の人のためのものではありません。 その中で株主は、資金の提供という関わりからビジョンの実現を目指す「仲間」として定義しています。これはいわば、従来の株主第一主義からの脱却であり、あくまで様々な関わり方をする多様なステークホルダーからなる共同体の一員として、目指すビジョンを実現するために共に旗を掲げる同志と捉えています。 これが、話し合いを重ねた中で生まれた、オールインクルーシブな社会における株式のあり方です。 ”やさしい株式”のあり方については以下のJOURNALよりチェックしてみてください。 https://solit-japan.com/blogs/journal/stand_with_stakeholders 今回は、そんなSOLITのやさしい株式のシステムに共感し、金銭的なリターンを考えると一般的には不利な条件の中、投資をしてくださった荻原国啓さんと山本晶一さんにインタビューをさせていただきました。 このJOURNALでは、SOLITへの投資価値をどのようにとらえて投資を決めてくださったのか、株主のお2人が目指す社会とSOLITの関連性などについて、インタビューを通して紐解いていきたいと思います。 多様な人が積極的に挑戦し、貢献できる社会へのアップデートを目指して ゼロトゥワン株式会社 代表取締役社長 荻原国啓さん SOLITが目指す『誰もが「違い」をありのままに受け入れ、健全に共存できる「All inclusive経済圏」の実現』に向けた一員になることができて、本当にワクワクしています。SOLITのビジョンに強く共感したことはもちろん、田中さんとSOLITのチームには、「これからの理想の社会を描くビジョンの明快さ」「社会を感度高くみつめて表現するセンス」「事業に関わるステイクホルダーに対してもビジョンの実現を一緒に目指すために、オールインクルーシブな姿勢を大切にしながら、丁寧かつスピーディーに現実の事業を動かしていく力」「ピュアで志の熱量が高さ」など、素晴らしい力とポテンシャルを持っていると感じ、投資という形で是非とも応援したくなりました。社会の理想を現実にさせるのは、SOLITのようなビジョナリーな起業家とチームだと信じています。SOLITがオールインクルーシブライフスタイル企業として成長し、素晴らしいブランドに育っていくことをこれからも全力で応援しています! ーSOLITの株式のシステムは、短期的な利益追求という面では、不利な条件ともとらえられると思います。そんな中どうしてSOLITへの投資を決めてくださったのでしょうか? わたし自身、エンジェル投資家という立場で起業して間もないスタートアップ企業に投資を行っていて、あたらしい資本主義のあり方であるポスト資本主義的な考え方や世界の体現を積極的に模索しています。そんな中で投資の判断軸として、金銭面だけでなく「自分の目指す社会への想いを事業活動を通じて実践される期待が持てること」や、「一緒にプロセスを試行錯誤できそうなワクワク感」を重要視しています。  たしかに、SOLITの株式のシステムは従来の資本主義的な経済合理性を追求する考え方だけを切り取ると不利な条件と言えるかもしれません。そのため、大きな資金を預かってリターンを最大化させることを第一ミッションとしている投資家にとっては投資対象に当てはまらないこともあると思います。  でも、多様なニーズに応えるSOLITという会社の目指す社会は、従来の資本主義的な考え方をアップデートする事業であり、人間にとって共通善のようなものを体現できると思ったんです。だからこそ、短期ではなく長期で応援するということが自分の役割だと感じ、投資を決めました。 ー荻原さんは投資によってどのような社会の実現を目指しているのでしょうか 20世紀的な価値観だと、世界は与える側と授かる側に分かれていて、授かる側が福祉の対象という色合いが強かったと思っています。それが21世紀になって、いろんな価値観、特徴、タイプを持っている方がダイバーシティとして理解、認識、尊重されるようになってきました。ただ、わたしは、多様な人が理解、認識、尊重された上で、さらに「積極的に参加し貢献できる社会」へのアップデートを目指しています。SOLITの掲げる「オールインクルーシブな社会」はそのような社会を表す言葉だとわたしは理解しています。 ー目指す社会像が、荻原さん自身の活動である、起業家を支援することや一緒に組織を立ち上げることにつながっているということなのですね。 はい、僕の投資対象も支援対象も、社会に必要とされているテーマやアジェンダがあってそれを事業として体現することを目的とした起業家です。そのような事業において大きなテーマとなる「どのように社会性と経済性を両立させていくか」という部分に自分は関わっています。  従来のやり方だと、社会性と経済性がトレードオフの関係にあったと理解しています。社会に良いことをしようとしても利益を生み出すことが難しく、福祉として活動する形になり、反対に利益だけを追求すると社会性が考慮できないというようなイメージです。 しかし、そうではなく社会性も経済性も考慮し持続的に事業を行う方法を見つけ、そこに僕自身が力を添えるという活動をしています。 ゼロトゥワン株式会社:https://www.zto.co.jp/ ーSOLITへ投資することの価値をどのような部分に感じてくださっているのでしょうか? 2つあります。 1つ目は、投資家という立場だけれど、組織の一員として理念の体現やそのプロセスを見ることができる部分だと思っています。SOLITのチーム自体がフラットで不要な上下関係がないんですよね。目指す社会の実現のためにそれぞれが大事な役割を担っている、そんな組織が機能していくプロセスを見られること自体に価値があると感じています。 2つ目は、SOLITが目指す社会に対して、なるべくスムーズに事業として推進できるようサポートする役割を担える部分です。SOLITが概念として理解されるだけでなく、1つのビジネスとして受け入れられなくてはならない。でも、そこに理想と現実とのギャップがあり、そのギャップを埋めるための耐久時間が必要だと思うんです。その耐久時間も継続して事業を続けるためには資金が必要。そのための資金を提供するという役割が自分にあると思うんです。 資金面でのリターンに重きをおいた従来の株主と経営の考え方だと、SOLITの目指す社会像やミッション、ビジョンが歪んでしまうと思うんです。だからこそ、目指す社会に重きをおいた投資の仕方をする自分のような投資家が株主として応援することは、意味があることだと感じています。 ーSOLITの現状に課題を感じるところや、今後のSOLITに期待していることを教えていただけますでしょうか? いかに顧客体験を磨き上げて行くかがポジティブな課題だと感じています。SOLITなら乗り越えられると思いますが、多様なステークホルダーや環境などに配慮して生まれているブランドなので、みんなが少しずつ譲り合い、許容してもらう必要があり、さまざまな葛藤があると思います。利用者や賛同者が確実に増えていけばそのような部分に投資することもできると思うので、順調な葛藤として乗り越えていく必要があると思っていますし、期待をしています。...