SOLITが最後までプロダクトと向き合うために

SOLITが最後までプロダクトと向き合うために

目次

みなさんは、着られなくなった服はどこへ行くのか考えたことはありますか?

SOLITのアドバイザリーボードの一人であり、全国から約2,000人集まる「ごみの学校」を運営する寺井正幸さんを中心に、PanasonicのFUTURE LIFE FACTORYの会場をお借りし、ファッションに携わる企業がファッション産業における廃棄の問題について議論し合いました。

このJOURNALでは、ファッション産業の廃棄の現状、そしてそれを踏まえたうえで、廃棄の観点で今のSOLITプロダクトにはどんな課題があるのか、またその課題に立ち向かうためのSOLITの今後の方針について紹介したいと思います。

 

衣服の廃棄が直面していること

衣料廃棄物は、「企業由来のもの」と「一般家庭由来のもの」の2つに分けることができます。企業由来のものは、ユニフォームや製品在庫などを指し、一か所から大量に発生します。また、落とすことが難しい汚れや社名入りのものが多いため、再利用がしにくいことが多いです。

一方、一般家庭由来のものは、普段着や学生服、着物などを指し、多拠点から少量発生するといった違いがあります。気が向いたタイミングで捨てられてしまうため、いつ捨てられるのかの予測がつかないという問題点があります。

日本における衣服処理方法の割合は、リユース14%、リサイクル10%、焼却処理76%と、8割近くが焼却処理されています

 日本ではリサイクル・リユースがあまりされていないことをグラフにした画像

(本会議で共有された資料をSOLITにて編集)

 

リユース・リサイクルされにくい理由

これらリユースの割合が低い理由としては、2つ挙げられます。

1つ目は、中古品自体の需要が低いから。最近はネットなどの媒体で中古品の売買が浸透してきているものの、まだ中古品の購入経験がない方や購入に抵抗がある方などが一定数残っているという現状があります。

2つ目は、中古品の中でも衣料品の需要が低いため。ファストファッションの台頭により、新品でも今流行っている服を安く手に入れることができるようになったため、中古品を選択する人が減ってしまっています。

また、リサイクルの割合が低い理由としては、3つ挙げられます。

1つ目は、分別のしにくさ。。衣服は、プラスチックと繊維くずなどの多種にわたる素材が混合していることが多く、分別しづらいという課題があります。2つ目は、再生材の需要の少なさリサイクル後の用途として、ぬいぐるみの中布や自動車内装材がありますが、それらの需要は減少しています。

最後に、海外輸出も持続的ではないことです。古着の海外輸出は輸出先の国の産業を奪う可能性がある上に、適切な処理技術がない国では埋め立てによる廃棄の影響で環境汚染が起こってしまうという問題もあります。

アパレル業界で働く私たちは、これらの問題1つ1つを把握し、立ち向かっていく必要があります。

ミーティング風景 

異なる角度から課題をみつめる

今回共にファッション産業における廃棄の問題について共に学んだのは、パタゴニア、Panasonic、ラルフ ローレン、BEAMS、博報堂DYメディアパートナーズなどの企業でした。

そこで学んだことを踏まえ、参加した各企業同士で、自分たちが企業としてどのように廃棄の問題に立ち向かえるかについてディスカッションを行いました。

  • 一部の人が問題について考えるのではなく、製品作りに関わる全ての人が対話をする機会が必要なのではないか。
  • 作り手・売り手が長年愛用してもらえるような工夫をするべきなのではないか。
  • 自社製品を解体することでマテリアルサイクルの大変さに気が付けるのではないか。

など、各社の参加者がそれぞれの事例や悩みを共有し合い、廃棄問題の解決に向けて意見交換をしました。

 

ファッション産業の課題は今や大きなものとなってしまっており、1つの会社だけでは解決できません。だからこそ、同じような課題を持つ企業が、ライバルとしてではなく仲間として相談し合うことが課題解決への鍵だと私たちは考えています。

所属する企業が違うからこそ、またそれぞれの企業の規模が違うからこそ、多角的な視点から課題にアプローチできることができるのだと思います。

このように企業間でディスカッションする場は、参加した企業にとって大変貴重な場になりました! 

 

SOLITプロダクトの出口に関する課題

同じくサステナブルファッションに取り組む複数の企業と学んだことを踏まえ、SOLITのプロダクトや生産から販売に向かうフローには、具体的にどのような課題があるかをSOLITメンバーで話し合いました。そこで、大きく分けて3つの課題が挙げられました。

  1. 何種類かの素材が混合したプロダクトであるため、再利用が難しい。
  2. リペア・リメイクサポートにおいて細かいフォローアップができていなかったり、そもそも創業まもないことから回収の事例が少ない。
  3. 現状、プロダクトの廃棄の責任を購入してくださった方に一任してしまっている。

 

「人」に視点を置いたSOLITのアクションプラン

上述の課題を踏まえ、次はどのように改善に取り組むかについて議論しました。

私たちは、今後の方針を決定するにあたり、人々が服を「廃棄する」という選択に至るにはどんな背景があるのか、また廃棄のフローにおいてどんなニーズがあるのか、を把握する必要があると考えました。そこで、決定した今後のアクションは、現状把握公開です。具体的には以下のような取り組みを行っていきます。

 

「調査」による現状把握

課題解決への第一歩は、SOLITのステークホルダーの皆様が「服を捨てる」という決断をするとき、捨て方、困っていることなどの現状を理解することだと考えています。そのためにステークホルダーの皆様に対して衣服の廃棄に関するヒアリングを実施します。

リサイクルフローと現状の公開

調査で得られたデータをもとに、リサイクルフローを透明化し、どのようなステークホルダーとの関わりがあるか、そして役割を終えたプロダクトがどこでどのように生き続けるのかを整理するために、誰が見ても分かるような服のライフサイクルを図式化したものを公開したいと考えています。

 

より多様な人や動植物、地球環境に配慮した体制を整えるために

SOLITの強みであるステークホルダーの皆様との深い関わりを活かし、人に着目したアプローチで課題解決に立ち向かっていくことをお約束します。

SOLITプロダクトの出口に関する問題への取り組みに関して、今後のSOLITにご期待ください!


現時点でのSOLITのファッション産業への課題に対する向き合い方はサステナビリティページ・トレーサビリティページからご確認いただけます。

サステナビリティとインクルーシブ

私たちの捉えるトレーサビリティ

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