徳武産業の「お客様に寄り添う」心とプロダクト/INTERVIEW

徳武産業の「お客様に寄り添う」心とプロダクト/INTERVIEW

目次

みなさんこんにちは!2022年2月からSOLITインターンをしている、あつきです。

本記事は、SOLITのプロダクトを実際に展示してくださり、多様な人も地球環境もともに考慮された「オールインクルーシブ」という考え方や価値観の発信拠点「SOLIT STAND」としてご協力いただいているみなさまへのインタビュー企画です。

SOLIT STANDの情報はこちら


まずは、香川県を本拠地とする、ケアシューズ専門メーカーあゆみシューズを展開する「徳武産業株式会社」。2022年3月からSOLIT STANDを設置していただいています。

企画開発や営業を経て、現在はあゆみシューズのショップスタッフをされている西木さんにインタビューをお受けいただきました。



INTERVIEW

現場の実情を入れ込んだプロダクト

ー どんなプロダクトを提供していらっしゃいますか?

徳武産業はもともと手袋産業やトラベル用のスリッパなど縫製の委託生産をやっていました。そんな時に、近所の老人施設の方から高齢者の転倒がとても多いと相談を受けました。

調査したところ、筋力が低下していたり様々な体の不自由さがあるために、屋内で履いているスリッパでは、うまく足を運べず、ちょっとした段差だったり床の環境で引っかかってしまうことがわかりました。そこで、履きものが原因なのではないか、ということになりました。そこから、神戸・長田の靴職人と研究を重ねて、「転びにくい靴」を開発しました。

ヒアリングをする中で、高齢者にとって脱ぎ履きの動作も重要ですし、片方ずつ足の状態やサイズが違うなど、転びにくいようにするためにはその方々に寄り添わないとクリアできないと当初から発見しました。発売開始後すぐ、靴底の高さやベルトの長さが変えられるなど症状に応じて部分的にカスタマイズができるパーツオーダーシステムを始めました。

販売当初から、高齢者の現場の意見・実情を入れ込んだプロダクトができています。それが原点なので、「あゆみシューズ」というブランドは現場のモニタリングを大切に、本当にそれが必要なのか、安全性は大丈夫なのか、などかなり厳しい会議をしてみんなが納得してイメージできるものをつくっています。


ー 企画の段階から施設やデイサービスに足を運んでいるとのことですが、一つの商品を生み出すのに、どれくらいの時間がかかっているんですか?

ものによりますが、半年〜1年はかかっていると思います。

ヒアリングを経て実現する時、生産する工場にとって難しいことが多いので、そこの折り合いが大変ですね。ニッチすぎてフィードバックの量が集まるのに時間はかかりますが、だんだんフィードバックをもらうまでの流れがスムーズになってきています。

今の主軸は高齢者のルームシューズなどのケア用品ラインと、病院の売店などで早期退院のために転倒しにくいシューズやがん治療で脱毛する方の帽子などを販売するメディカルラインの二つです。もう一つ新規でやっているのが、脚立を登って工事をする方などが踏ん張れるルームシューズを作るお仕事ラインです。

これまで「あゆみ」で培った技術や素材の使い方を用いて様々なラインを展開していますが、共通しているのは、ニッチだけれど、ちゃんと人の役に立つかどうかをベースにしているところです。


ー 西木さんはどうして徳武産業に?

医療福祉専門学校の整形靴科で学んでいました。そこで学んだのは、「いかに歩かせるか」だったのですが、「あゆみシューズ」を訪れた時に、縫製中心の会社だったので室内履きが豊富なことに疑問を覚えました。

「歩くことが難しくても、靴を履くことはその人の人権で、その人の社会的地位を守るもの」という言葉を聞いて感動して、歩いていないから履きものはいらない・なんでもいいという考えは持っていなくて、人を大切にしているところが響きました。

 

スタッフ全員のベースにあるのは「お客様に寄り添っているか」

ー「利益は必要だが最優先であってはいけない」というこだわりを貫くモチベーションになっているのはどんなことですか?

お客様からお手紙をいただくことですね。こちらから手書きでメッセージを添えたり、お誕生日プレゼントを2年間送ったりしているのですが、そのあたたかさがお客様にも伝わってか、お客様からお手紙をいただいたり、アンケートはがきに丁寧に答えてくれたり。

お客様から感謝してもらう事はもちろん嬉しいのですが、さらに、この靴の存在が、その人の人生のポイントの一つになっている事を、お手紙やはがきを通して、きちんと私たちが確認できるようになっているので、私たちはお客様の人生にとって大切なものを作っているのだと振り返りができる事もモチベーションになっています。

様々な年代のスタッフがおりますが、みんな最終的にベースとなっているのは「お客様に寄り添っているか」なので、売り上げにつながるかどうか、ではないなと思っています。みんな自分達の商品にプライドを持っているから繋がっているのではないかなと思います。


SOLIT STANDを設置することで社内外の刺激になれたら

SOLITのプロダクトを展示する香川の徳武産業のお店

ー SOLITのどこに共感してくださったんですか?

香川での試着展示会に行った時に、みんなが「こうだったらいいのに」と思うものが具現化されている!と嬉しくなりました。私たちもデザイン性についての課題をもらうことが多いのですが、それをきちんと実現されているところと、様々なところで展示会をして楽しく伝えているところに感化されました。

ー 徳武産業さんとSOLITで、共通項だなと感じるところはありますか?

SOLITさんの1600通りから選べるというところと、私たちのパーツオーダーできるところが似ていると思います。メニューにないけどここやってほしい!という要望があれば、安全性を確認しながらできるだけ断らないようにしています。

ー SOLIT STANDとして、「オールインクルーシブ」を発信する場になってみて、どうでしたか?

展示するときに二つ思ったことがあって。一つはご来店するお客様に情報として伝えられる展示にしておけたらいいなと思いました。ただ、ターゲット層的に年配の方が多いのでSDGsとかインクルーシブとかがあまり響かないかもしれないけど、展示してどこか心に引っ掛かったらいいなぐらいの感じで展示を始めました。

もう一つは、社内を勢いづけたいという思いがありました。こういう動きをしているところがあることを知ってほしいし、私たちも参加するべきだし、そこを理解できる会社なので。会社の人たちは展示を見るたびにこうなっているんだ!とみたりしています。

社内外で、こういうものがあるという情報が得られる場所を作れてよかったです。このような動きがあるという時代の流れを、情報が遅れがちと言われる香川の田舎で刺激となればいいかなと思っています。


徳武産業/「あゆみシューズ」について

徳武産業は香川県に本社をおく、ケアシューズ専門メーカー。お年寄りが転倒しにくい靴をつくってほしいという依頼から、転倒しにくいだけでなく、履きやすさ、そして身体だけでなく心まで元気になれるよう、一足一足こだわりと自信を持って制作するブランド「あゆみシューズ」を展開。自分の足に合わせて各パーツのサイズや高さを左右別にカスタマイズできるパーツオーダーを導入している。


徳武産業/「あゆみシューズ」の詳細はこちら

https://www.tokutake.co.jp/#section1

https://www.facebook.com/ayumi.tokutake/

https://www.tokutake.co.jp/shop/




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