はたしてファッションは私たちとともにあるのか。ダイバーシティ&インクルージョンを共に考える/ EVENT REPORT

はたしてファッションは私たちとともにあるのか。ダイバーシティ&インクルージョンを共に考える/ EVENT REPORT

目次

2022年3月22日(火)に開催された、ファッションの民主化を目指す「SOLIT!」のコラボイベント「はたしてファッションは私たちとともにあるのか。ファッションのダイバーシティ&インクルージョンを共に考える」のイベントレポートをお届けします。

本イベントは、2022年2月から3月にかけて、障がい者専門の就職・転職支援サービスを運営し、調査・研究・レポートを発信する株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所と協働で実施した障がい者のファッションに関する課題調査の結果レビュー、課題当事者による現在のファッションの課題や選択肢に関するトークセッション、ダイバーシティ&インクルージョンの国内外のソリューション事例の紹介という3部構成となっています。

調査結果の詳細につきましては、以下からご覧ください。

具体的な調査結果のレビューについてはこちら

今回の記事では、ファッションに関する課題を経験された方を交えて、実際に直面するファッションの課題や悩み、要望についてお話しするトークセッションをピックアップしてお届けします。早速イベントレポートをみていきましょう。

イベント開催の背景

ファッションは、本来自己表現と社会参加の一助を担い、誰しもが自律的に選択できるはずのものですが、自ら選ぶことができる“選択可能な選択肢“自体が限られてしまう人たちがいることはご存じですか?

国内外でファッションによる患者や介護者、障がい者の行動の変化についての研究はされているものの、そうした研究結果がファッション事業者に届かず、実装されている事例はまだまだ少ないのが現状です。身体・心理・社会的な制限を伴う方にとって必要な「機能性とファッション性」の両立を実現した衣服は、本当は多くの方が求めているのにも関わらず、ほとんど選択肢が生まれていません。

今回は、ファションにおけるダイバーシティ&インクルージョンを捉え、より多様な人が、「着たい」も「着られる」も実現できるように、そのための課題や、方法を共に考えたいと、ゼネラルパートナーズ とSOLITがコラボし、本イベントを開催しました。

本イベントが、ファッションのダイバーシティ&インクルージョンについて考えるきっかけになれば幸いです。

登壇者紹介

当日は、こちらの3名の方々を交えて、終始和やかな雰囲気でトークセッションが行われました。

スピーカー紹介

中島 幹太(なかしま かんた)

バリアフリー社会の実現という夢に共感してくれた友人と、YouTubeチャンネル「車いすいすいかんちゃんねる」を運営しています。合言葉は「あなたの隣に車いす」。今は就職活動も頑張っています。

松川 瑞歩(まつかわ みずほ)

大学生時代にアメリカに留学し、障がい者に対する考え方や接し方が日本と大きく違う事を感じ、日本国内 での一般的な障がい者のイメージを変えられる様なきっかけになれれば良いなと思うようになり、現在方法を模索中。
大学時代から趣味で手話を勉強しており、現在はある社会人手話サークルの東京支部代表を務めている。

三代達也(みよ たつや)

18歳の頃バイク事故の後遺症で脊髄を損傷し両手両足が動かなくなる。その後、2017年から 車椅子単独世界一周した経験から、現在は全国での講演活動、旅行会社や自治体と提携して車椅子等でも旅行しやすいツアーづくりなどに携わられています。
2021年3月に沖縄へ移住、学生達への福祉教育にも積極的に関わる。

課題当事者による現在のファッションの課題や、選択肢に関するトークセッション

当日の様子

トークセッションの一部分を抜粋してお届けします。ぜひご覧ください。

調査結果に対する率直な感想

かんたさん: インクルーシブ・ユニバーサルファッションを知ってる人が少ないなと感じました。ただ、僕自身もSOLITさんと出会ってなければ、なかなか知る機会がなかったと思うので、そこは印象的でした。困りごととしては、僕自身、服の形状や機能にすごく困っていたので、同じ悩みを感じる方が多いんだなと思いました。

みずほさん: 私もインクルーシブファッションの認知度が低いことに驚きました。一方で、SOLITさんを知るまでは、今のファッションの業界に自分がフィットインしなければいけないと諦めてしまっていたので、もっと認知が広まればいいなと思いました。
また、自分の体にあった運命の服に出会ったら、それを長く着続けたいので、修理やケアをしやすい服がもっと増えればいいなと思います。

みよさん: まず、みずほさんがおっしゃっていた、運命の服に出会ったら長く着続けたいというのは本当に共感できます。とても着やすいという服が1着見つかっても、次は、同じようなものとはなかなか出会えないので、修理できるような仕組みがあればいいなと思いました。

スライドを見て思ったのが、支出の平均額がとても少ないなと感じました。ここは僕の働いてる旅行業界と似ているなと思ってて、どちらも踏み出すまでが大変で、旅行はハマってしまうと次も行こうってなるのと同じで、服もお気に入りのブランドが見つかれば、安心して購入できるので、もう少し支出が増えるんじゃないかなと思いました。

また、店員さんのコミュニケーションもとても共感できて、服を買いに行くたびに障害のことを説明するのは億劫なので、自分のことを記憶してくれている店員さんがいる店によく通うようにしています。そのようなコミュニケーションを意識してもらえたらもっと購買意欲を感じてもらえると思います。

店舗や家で試着をすることの大切さ

みずほさん: アクセスの問題で店舗に行けない場合でも、私は個人的にオンラインで服は買わないです。体の形に合うかどうかは試着しないとわからないので。また、店舗で試着していて、時間をかけてしまうと並んでいる人に気を使ってしまったり、試着後も購入するかをゆっくり考えたいと思うので、家で時間をかけて試着できるといいなと思います。

かんたさん: 僕自身も体型に悩みがあるので、オンラインで見てすぐに購入するかといえば、すぐには購入できないと思いますし、もちろん金銭的な面で購入できないということもあります。しかし、SOLITの試着会に参加した時にオンラインでいいなと思っていた服を着れることがすごくうれしかったので、「着る体験」はすごく大事だと思います。

みよさん: 僕は身長が190㎝以上あって、車椅子に乗るとズボンの丈があがってしまうので、よくあるHPの、「190㎝の方のサイズはこちら」みたいなものは、あまり参考にならなったりします。なので、店舗が遠い場合、家で一度試す機会などがあると、消費者としては非常に使いやすいと思いました。

やっぱり、みんなが楽しめるファッションが増えて欲しい!

かんたさん: 僕は腕がそんなに長くないけれど、体型が大きめなので服選びが凄く難しくて、このデザインいいなと思って着たものが、袖が長くて車椅子を漕ぎづらいとかがよくあるので、簡単ではないと思うんですけど、いろんな人がいろんな体型に合った服で、もっとその人らしくファッションを楽しめる機会が増えていくと嬉しいなと思います。

みずほさん: やっぱりみんなが楽しめるようなファッションがもっと増えたらいいなって思ってて、私はその日の気分が服に影響されることが多くて、今日はきれいめとか、ワイルドな感じで強めとか、ファッションで気分が左右されることが私は好きなので、みんながそれを自由にできたらいいなって思います。

細かいところを言うと、パンツの丈をカットしてもらうときに、「3cmまで」みたいな制限があるので、制限なくもっと幅広くカットしてもらえたり、パンツだけではなくスカートの丈もカットしてもらって長さを調整できたらいいなと思います。

あとは、モデルの多様性っていうところで、低身長の人がどういう着こなしをしたらかっこよく見えるよっていうのを知れたり、身長の低い、高い関係なくいろんな幅でスタイリングを組んで見せていくっていうのがあればいいなって思います

みよさん: 発信の部分では、モデルを多様化して、こういうのも着れるんだと知れるのは消費者としても大切だと思います。また、企画段階で、障がい者など多様性のある人たちを巻き込んでいくことで、ブランド側がファッションに関する困りごとを理解して、どう解決できるかを一緒に考えていき、それを障がい者に特化するのではなくあらゆる人が着ても最高にカッコいいものを作れたら価値以外の何物でもないと思います。

だからこそ、まずは第一歩として困りごとを聞くセミナーや座談会などを開催するというところから始めていくことが大事だと思います。

イベントの全てを動画で見たい方はこちら

いかがでしたでしょうか。 このようなトークセッションを通じて、今後のファッション業界に望むことや、インクルーシブデザインがどれほど求められているのかを感じて頂けたかと思います。

こちらに記載したのは、トークセッションの一部となっております。本イベントを全てご覧になりたい方は、是非以下よりご覧ください。

今後の展開について

SOLITでは、ファッション×ダイバーシティ&インクルージョンのさまざまなソリューションを病院や研究所・当事者の方々と連携して開発していきます。引き続き、学びの機会や共に実践してくださる方を募集しております。 継続的に、最新情報や当事者の声を聞く場を設けたいと思っています。 調査データやインクルーシブデザインの考え方を用いた企画開発、事業展開のサポートが必要な方がいらっしゃいましたら、以下の「お問い合わせフォーム」よりいつでもご連絡ください。

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