全社の意思決定としてD&I推進を決めたコクヨ、SOLITもともに

全社の意思決定としてD&I推進を決めたコクヨ、SOLITもともに

目次

世界3大デザインアワードと称される「iF DESIGN AWARD」でも、世界中の審査員から評価されたSOLITのインクルーシブデザイン。

これまでのファッションブランド「SOLIT!」の開発で培ったダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)とサステナビリティの知識、人間を中心としたプロダクト開発の調査研究、そしてニーズ・イシュードリブンデザインによって、私たちは現在企業の新規事業開発や方針策定の伴走支援も行っています。

 

全社の意思決定としてD&I推進を決めたコクヨ

今回、2024年までのコミットメントとして、インクルーシブデザインが考慮された新商品の品番構成比率20%以上にすると掲げる「コクヨ株式会社」と協働することになりました。

コクヨのマテリアリティ


コクヨは長期ビジョンに対して、「新しい働き方の提案」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「気候危機への対応」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」の5つを重点課題としています。そしてなによりコクヨの強みは「共感共創」。これまでも共感によりサービスが生まれ、新しい価値を創造してきたことを携え、D&Iだけでなく、D&I&I(Innovation)を掲げ、タスクフォースが立ち上がりました。

私たちSOLITはそのタスクフォースのみなさんとともに、毎週顔を合わせて打ち合わせをし、組織体制・意思決定プロセス・企画開発フローをはじめとして、ただアウトプット1点の改善やリリースを目指すのではなく、会社としての「体質を変える」ことからご一緒しています。(そしてここまでの意思決定をされていること自体がとても素敵だなとおもっています!)

 

みんなで、見えない世界とつながる

コクヨの社員の皆さんが熱く語り合う

D&Iを学び実践するにあたり、机上の空論とならず、実際に「体験をする」ということは大きく学びや言語化されていない「感覚」を掴むにはとてもいい機会になります。また、ともに事業/プロジェクト運営を行う仲間とともに視察をすることにより、目線合わせや共通言語をもつこと、そして事業推進・意思決定の効率化・チームビルディングに繋がります。

 そこで今回私たちは、コクヨのD&Iタスクフォースチームのみなさんを一堂に集結していただき、

  • チームの多様性を気づき、相互理解を促すワークショップ
  • 5名の見えない世界でそれぞれ好きな分野で活躍されているゲストとの対話
  • 見えない世界の体験

という大きく分けて3つの時間をともにしました。

 SOLIT代表の美咲が話す姿

最後には皆さん同士が「友達」になっていたことがとても嬉しくて、「ターゲット」のための開発ではなく、好きな「友達」のためにものをつくるという姿勢への変化が生まれたのは私たちも驚きでした。

 

複雑なものを、複雑なまま捉える

5名の見えない世界でそれぞれ好きな分野で活躍されている方をお呼びし、それぞれから今どんな活動をされているのかを教えてもらった後、コクヨが「働く」「学ぶ」「暮らす」ということを主軸においている企業だからこそ、これまでの組織や働く場所として 「こうだったらよかったな」「ここはよかったな」と思うことはなにかという主題で対話が繰り広げられました。

 視覚障害のある参加者と文具について話す

見えない人、見える人、聴こえない人、聴こえる人、歩ける人、歩けない人、

歌が好きな人、人前で話すのが苦手な人、ジョークが好きな人、アイデアを出すのが苦手な人

文具にこだわりがある人、文具を懐かしいと感じる人...

 

今回は「ゲスト」としてお呼びした5人と、コクヨのタスクフォースのみなさんがともに時間を過ごす中で、それぞれ全く異なる存在であり「全くの一緒」ということはないのだということが徐々に感覚としてわかり始めた時、徐々にその関係性が「仲間」に変わり、「友達」に変わっていくことが外から見ていて伝わってきました

視覚障害者だから〇〇が必要である、といった画一的かつ簡易的な解決策などなく、そこにも多様な価値観や思想、生活環境や捉え方の違いがあり、複雑であることを、複雑なまま捉えることの大切さを学べたのだとおもいます。

ゲストではなく、最初から一緒に

話し合いをするコクヨの社員

最後に、「ゲスト」の方から大切な一言がありました。

私たちを、時々呼ぶゲストにしないでください。初めから呼んで、仲間にしてください

時々ヒアリングをしたり、アンケートをとり、時々意見を取り入れる...といったことで、「障害者の意見を聞いた」と言い切り作り上げられてしまう物事がたくさんある中で、企画段階からコンスタントに意見を言い合える仲になることで、修正効率もあがり、「伝えやすい関係性」になることで伝えられることがあるのだと思います。

 ゲストではなく、チームのメンバーとして、もっと多様な人がチームにいやすいことと、チームにいることがこれからの企業のD&Iにおいてはとても重要なのだと思いました。

 SOLITのスタッフ、ゆきこがホワイトボードに文字を書く

企業がD&Iに取り組む理由

 ここからは、当日ご一緒したSOLITのメンバーの所感をそれぞれの立場から記載します。同じ組織であっても捉え方が異なること、そしてそれを無理矢理カテゴライズしたり、簡易化させる必要などないのだとおもい、そのまま載せたいと思います。

 見えない人、見える人、文具が好きな人、初めて文具を楽しむ人

YUKIKO(SOLIT カスタマーサクセス担当 / 鍼灸師)

このようにご一緒するまでは、「なるべく誰でも働きやすい環境」が作られてないことのほうがどう考えてもおかしいし、そんなのわざわざ掲げないといけないことなのかしら、まだそんな時代なのかしら、という気持ちでした。

しかし、今まで「働ける人」として定義されてきた人にとっての「良い環境」は作られていたとしても、「こんな人達も働けるように」の枠に入る人たちへの環境整備はハードもソフトもまだまだ追いついてないんだなということを実感したし、更にその議論は当事者を置いて行われることがほとんどであることもよくわかりました。

D&Iは、まだまだそれらが整ってないからこそ必要な言葉であり定義であって、私達は「D&I」という言葉が必要なくなる世界を目指していくために、今「D&I」という言葉と枠組みとうまく向き合って、取り組まないといけないんだなという事に気づきました。

 

SUZUKA(SOLIT ライティング・ブランディング担当 / ガイドヘルパー)

多様な人との相互理解や対話を通して、事業開発においては「多様なターゲット」として捉えやすく、すぐ実践に活かしやすいものの、社内の多様性や社内システムを担当する人にとっては理解力が求められるのだということを知りました。より多様な人が働きやすい会社にするために、多様な人の価値観や視点を知ることが重要だということを、説明なしに感じ取ってもらうことの難しさを感じました。

やはり最後の方になっていくと、皆さん笑顔が出たりラフな雰囲気になったりしていたので、これまでオンラインでのミーティングが多かった分、対面で会える機会を作ることの重要性を感じました。会場を移動する際にも、「こういうワークショップをあまり経験したことないから良かった」「楽しかった」と言っていただきました。

 

MISAKI(SOLIT 代表 / ガイドヘルパー)

私がファシリテーションをする上で、「視覚障害者のみなさん」と言いたくなくて、「ゲストの皆さん」とはなしていたのですが、「私たちをこれからは一時的に呼ぶゲストではなく、メンバーとして受け入れて一緒に企画をしていってほしい」とミキティさんがおっしゃっていて、本来そうしたいと思っているのにもかかわらず、私の口から「ゲスト」という言葉が出ているということは、まだ理解と言動の一致に達していないんだと、自分自身の未熟さに気づきました。

なにより、ずっと感じていた「友達になる」ということがとても大切だなということもさらに再認識しました。ビジネスにおいては「ターゲットユーザー」「リードユーザー」として課題当事者を捉えてしまいがちですが、義務感や業務目標達成のためという枠組みではなく、真に相手のことを思った企画やデザイン、意思決定ができることがこれから必要なのではないかと感じました。

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