購入者のひとりとして、SOLITとしてできること

購入者のひとりとして、SOLITとしてできること

毎日に彩りを与えてくれた大好きな服や、肌を守ってくれた下着、運動するときのジャージや快適な睡眠をサポートしてくれたパジャマなど、わたしたちが生活をする上で出会った沢山の服は、その役目を果たし捨てられた後に、どうなっているのか知っていますか?

2023年6月8日(木)、SOLITのアドバイザリーボードの一人であり、全国から約2,000人集まる「ごみの学校」を運営する寺井正幸さん主催の「古着リサイクルを体験して服のデザインを考えるワークショップ」が開催されました。

わたしたち含め、ファッションに携わる企業の担当者を集めた「ごみの学校」はこれで2回目。1回目は座学で行われましたが、今回は実際に手を動かして実態を知るワークショップ形式でした。

繊維リサイクル業者のご協力の元、実際に廃棄物処理を行う現場で行われているルールや、処理の仕方の通りに古着を分別したり、解体したりすることで、「廃棄・処理」の視点から服のデザインやあり方を考える内容となりました。

前回の内容はこちら:SOLITが最後までプロダクトと向き合うために

このJOURNALでは、ワークショップを通して感じたファッション産業の廃棄とリサイクルの問題、それらを踏まえて今後SOLITとしてできること、そして購入者のひとりとしてできることについて、ワークショップに参加したSOLITインターンの矢野目が紹介したいと思います。

ファッション業界の廃棄の現状

以前開催された「ごみの学校」のおさらいとして”繊維のリサイクルの実態についての座学”からスタートしました。

ごみの学校を運営する寺井さん。青色のシャツにデニムを履いて、スライドを進めている

主な問題点として、日本において、衣料品のリユース・リサイクル率は低く、8割が焼却処分されていること。それらの原因としては、衣料品を資源ごみとして回収している自治体が少なく、リユースショップに持ち込む以外は、燃えるゴミとして捨てるしかないという問題がありました。

日本におけるリサイクルの流れをイラストに起こしたもの

(共有された資料をSOLITにて編集)

廃棄・リサイクルの選別方法

それでもなんとか「資源ごみ」として回収された服は、繊維リサイクル業者へと運び込まれ、廃棄・リサイクルに向けて選別をおこないます。今回のワークショップでは、その選別作業を参加したファッションに携わる企業の方々と一緒に体験しました。

服の選別方法については以下の通りです。

資源ごみの選別方法を、スライド資料をイラスト化したもの

(共有された資料をSOLITにて編集)

まるで宝探しのように、国内リユースや、海外輸出する服を探してみましたが、蓋を開けると一袋の約7割が焼却処分をせざるを得ないものでした。

資源ゴミとして回収された大量の衣料品(資源ゴミとして回収された大量の衣料品)

仕分け後。左から海外輸出、反毛原料、ウエス原料、焼却処分(仕分け後。左から海外輸出、反毛原料、ウエス原料、焼却処分)

繊維にポリエステルが少しでも入っていたり、素材表記がされていないだけで焼却処分に回されます。これらは、SOLITを含め、普段からファッションアイテムを作り出している企業が、製造をする時生じる問題です。

しかし、くしゃくしゃなものや汚れているものなど、購入者がひと手間加えて、綺麗にしてから出していたら、リユースでき、焼却されずに済んだものも中にはありました

私の住んでいる地域では、資源ごみ回収があり、服を出すたびに「私の服たちはリサイクルされて今頃違う物として生まれ変わっているのだな」と良いことをした気分になっていましたが、実際にはそうではなかったことに気がつきました。

焼却処理行きの原因とは

焼却処理行きの原因として考えられるものは、3つあります。

1つ目は、企業の製造方法によるもの。

長期間確認できる素材表記の方法が確立されていないことが問題として挙げられました。ウエスや反毛などリサイクルに回るかどうかは素材で判断するため、素材表記がないものは全て焼却されてしまいます。素材表記のあるタグを切ってしまっても素材を判別できる方法を確立する重要さを感じました。

また、最近は服を製造する際に化学繊維を使用することが増えています。しかし日本では天然素材を前提としたリサイクル方法が確立されているため、昔はリサイクルできたものが今ではできなくなっているそうです。

2つ目は、リサイクル方法の選択肢の少なさ。

今回協力していただいた繊維リサイクル業者では、ポリエステルのリサイクル方法が確立されていませんでした。市場で販売されている服はほとんどがポリエステルを含んだ混合素材なので、そもそもリサイクルできる素材が少ないのが現状です。そしてリサイクルできるものでも、その用途であるウエスや反毛は需要がそう高くはありません。

そうしたリサイクル方法の選択肢の少なさも焼却するという選択に絞られている原因になっています。

3つ目は、購入者の捨て方によるもの。

汚れがついているものやペットの毛や匂いがついているものは、元々は価値の高いものであろうと焼却されてしまいます。購入者がリサイクルできない状態でごみに出してしまうのは、資源ごみの正しい出し方が各自治体で伝えられていないことが原因だと考えられます。資源ごみとして出す前に一度洗濯をして綺麗な状態で出すことで、焼却せずにリサイクルやリユースできる可能性があります。

ちゃんとリサイクルされるために行うべきことをイラストにまとめたもの

(共有された資料をSOLITにて編集)

廃棄・リサイクルの解体方法

選別された服はリサイクル用途に合わせた解体の作業へと移ります。

1.不用物の除去

・ファスナーやボタンなど繊維以外のものは全て取り除く。

2.ウエスの製作

・一辺が30~60cmになるように裁断する。

実際に作業をしてみると、服1着を解体するのにかなりの時間がかかります。購入してくださる購入者の方を思って、素敵なデザインにしようと装飾や機能性を詰め込んだ服だとしても、解体作業ではこんなにも大変な手間をかけてしまうのかと、なんとももどかしい気持ちになりました。

服をウエスのためにハサミできる手元

ウエスのためにハサミできった布

しかしながら、ボタンやファスナーなど必要な機能性を完全に省くことはできませんし、凝ったデザインもデザイナーから人々へ届けたい重要なメッセージが含まれていることもあります。

では、そうした二つの道に別れていることに気がついた、私たちファッションブランド企業は、何ができるのでしょうか?私たちには服を作り出す以上、服の終わりまで考える責任があります。

購入者としてできること

前回の「ごみの学校」を経て公開したJOURNALに、SOLITとしてのアクションプランを公開しましたが、今回は、ワークショップに参加し、この記事を書いている私が購入者の1人としてできると思ったことを綴ります。

ごみの学校に参加する前までは、服のごみ問題は大規模なもので私たち購入者にできることはないのではないか、、と考えていましたが、実は小さな行動からできることが沢山あることに気がつきました。例えば以下のものがあると考えました。

  • リメイクによってもう一度お気に入りのアイテムに変身させる
  • 購入したお店にリペアサービスや衣類の回収をおこなっているのか尋ねてみる
  • リユースショップで買取をしてもらう
  • 資源ごみとして出すならば洗って綺麗な状態にする

大事なことは、購入したお気に入りの服たちを長く愛し続けることです。愛することで汚れてしまっても違う形で使えないかと考えるきっかけにもなりますし、自分の元から離れても違う人に大切にしてほしいなと願うことにも繋がります。

購入したときのワクワクを忘れずにこれからも好きな服で毎日を彩りましょう。

最後に

私たちは今、サステナブルな未来を築くための行動が求められています。決して難しい話ではなく、私たちの小さな一つひとつの選択次第で現実のものになるのです。

行動を起こすために必要な、知識の共有や学びの場をSOLITで提供し、課題解決に立ち向かっていくことをお約束します。私たちの選択が地球と社会に与える影響を考えながら、持続可能なファッションを楽しみ、未来の世代に良い変化をもたらすために、私たちの力を合わせましょう。

 

SOLITでは、お客様に長く使っていただけるように知識の共有をしております。

こちらの記事ではお手入れの方法について発信しておりますので合わせてご覧くださいませ。

SOLITプロダクトの出口に関する問題への取り組みに関して、今後のSOLITにご期待ください!

 

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