持続的な活動を通してオールインクルーシブな社会の実現を目指すわたしたちは、「株式会社」という会社形態を採用しています。しかし、一般的な株主のあり方である「株主第一主義」は採用していません。SOLITは、「”オールインクルーシブな社会”を目指す同志による共同体」であると考えています。一部の特定の人のためのものではありません。
その中で株主は、資金の提供という関わりからビジョンの実現を目指す「仲間」として定義しています。これはいわば、従来の株主第一主義からの脱却であり、あくまで様々な関わり方をする多様なステークホルダーからなる共同体の一員として、目指すビジョンを実現するために共に旗を掲げる同志と捉えています。
これが、話し合いを重ねた中で生まれた、オールインクルーシブな社会における株式のあり方です。
”やさしい株式”のあり方については以下のJOURNALよりチェックしてみてください。
https://solit-japan.com/blogs/journal/stand_with_stakeholders
今回は、そんなSOLITのやさしい株式のシステムに共感し、金銭的なリターンを考えると一般的には不利な条件の中、投資をしてくださった荻原国啓さんと山本晶一さんにインタビューをさせていただきました。
このJOURNALでは、SOLITへの投資価値をどのようにとらえて投資を決めてくださったのか、株主のお2人が目指す社会とSOLITの関連性などについて、インタビューを通して紐解いていきたいと思います。
多様な人が積極的に挑戦し、貢献できる社会へのアップデートを目指して
ゼロトゥワン株式会社 代表取締役社長 荻原国啓さん
SOLITが目指す『誰もが「違い」をありのままに受け入れ、健全に共存できる「All inclusive経済圏」の実現』に向けた一員になることができて、本当にワクワクしています。SOLITのビジョンに強く共感したことはもちろん、田中さんとSOLITのチームには、「これからの理想の社会を描くビジョンの明快さ」「社会を感度高くみつめて表現するセンス」「事業に関わるステイクホルダーに対してもビジョンの実現を一緒に目指すために、オールインクルーシブな姿勢を大切にしながら、丁寧かつスピーディーに現実の事業を動かしていく力」「ピュアで志の熱量が高さ」など、素晴らしい力とポテンシャルを持っていると感じ、投資という形で是非とも応援したくなりました。社会の理想を現実にさせるのは、SOLITのようなビジョナリーな起業家とチームだと信じています。SOLITがオールインクルーシブライフスタイル企業として成長し、素晴らしいブランドに育っていくことをこれからも全力で応援しています!
ーSOLITの株式のシステムは、短期的な利益追求という面では、不利な条件ともとらえられると思います。そんな中どうしてSOLITへの投資を決めてくださったのでしょうか?
わたし自身、エンジェル投資家という立場で起業して間もないスタートアップ企業に投資を行っていて、あたらしい資本主義のあり方であるポスト資本主義的な考え方や世界の体現を積極的に模索しています。そんな中で投資の判断軸として、金銭面だけでなく「自分の目指す社会への想いを事業活動を通じて実践される期待が持てること」や、「一緒にプロセスを試行錯誤できそうなワクワク感」を重要視しています。
たしかに、SOLITの株式のシステムは従来の資本主義的な経済合理性を追求する考え方だけを切り取ると不利な条件と言えるかもしれません。そのため、大きな資金を預かってリターンを最大化させることを第一ミッションとしている投資家にとっては投資対象に当てはまらないこともあると思います。
でも、多様なニーズに応えるSOLITという会社の目指す社会は、従来の資本主義的な考え方をアップデートする事業であり、人間にとって共通善のようなものを体現できると思ったんです。だからこそ、短期ではなく長期で応援するということが自分の役割だと感じ、投資を決めました。
ー荻原さんは投資によってどのような社会の実現を目指しているのでしょうか
20世紀的な価値観だと、世界は与える側と授かる側に分かれていて、授かる側が福祉の対象という色合いが強かったと思っています。それが21世紀になって、いろんな価値観、特徴、タイプを持っている方がダイバーシティとして理解、認識、尊重されるようになってきました。ただ、わたしは、多様な人が理解、認識、尊重された上で、さらに「積極的に参加し貢献できる社会」へのアップデートを目指しています。SOLITの掲げる「オールインクルーシブな社会」はそのような社会を表す言葉だとわたしは理解しています。
ー目指す社会像が、荻原さん自身の活動である、起業家を支援することや一緒に組織を立ち上げることにつながっているということなのですね。
はい、僕の投資対象も支援対象も、社会に必要とされているテーマやアジェンダがあってそれを事業として体現することを目的とした起業家です。そのような事業において大きなテーマとなる「どのように社会性と経済性を両立させていくか」という部分に自分は関わっています。
従来のやり方だと、社会性と経済性がトレードオフの関係にあったと理解しています。社会に良いことをしようとしても利益を生み出すことが難しく、福祉として活動する形になり、反対に利益だけを追求すると社会性が考慮できないというようなイメージです。
しかし、そうではなく社会性も経済性も考慮し持続的に事業を行う方法を見つけ、そこに僕自身が力を添えるという活動をしています。
ゼロトゥワン株式会社:https://www.zto.co.jp/
ーSOLITへ投資することの価値をどのような部分に感じてくださっているのでしょうか?
2つあります。
1つ目は、投資家という立場だけれど、組織の一員として理念の体現やそのプロセスを見ることができる部分だと思っています。SOLITのチーム自体がフラットで不要な上下関係がないんですよね。目指す社会の実現のためにそれぞれが大事な役割を担っている、そんな組織が機能していくプロセスを見られること自体に価値があると感じています。
2つ目は、SOLITが目指す社会に対して、なるべくスムーズに事業として推進できるようサポートする役割を担える部分です。SOLITが概念として理解されるだけでなく、1つのビジネスとして受け入れられなくてはならない。でも、そこに理想と現実とのギャップがあり、そのギャップを埋めるための耐久時間が必要だと思うんです。その耐久時間も継続して事業を続けるためには資金が必要。そのための資金を提供するという役割が自分にあると思うんです。
資金面でのリターンに重きをおいた従来の株主と経営の考え方だと、SOLITの目指す社会像やミッション、ビジョンが歪んでしまうと思うんです。だからこそ、目指す社会に重きをおいた投資の仕方をする自分のような投資家が株主として応援することは、意味があることだと感じています。
ーSOLITの現状に課題を感じるところや、今後のSOLITに期待していることを教えていただけますでしょうか?
いかに顧客体験を磨き上げて行くかがポジティブな課題だと感じています。SOLITなら乗り越えられると思いますが、多様なステークホルダーや環境などに配慮して生まれているブランドなので、みんなが少しずつ譲り合い、許容してもらう必要があり、さまざまな葛藤があると思います。利用者や賛同者が確実に増えていけばそのような部分に投資することもできると思うので、順調な葛藤として乗り越えていく必要があると思っていますし、期待をしています。
多様な人を包括するビジネスや発信力への期待
株式会社Shoichi 代表取締役 山本晶一さん
SOLITの目指す社会に対して、代表の田中さんは一貫して挑戦し続けていることを知っています。そしてすでに世界的にも評価された社会起業家なのに、現状維持しようものならすぐに違和感を感じ、潔く手放し挑戦し続けているのは尊敬します。田中さんが苦手なことは、同じビジョンに向けて共感したプロフェッショナルによる「チームで解決」していくといった、遠くに飛び立つために必要な仲間と熱量と、その決断力を備えたチームはなかなかないと思います。たくさんの人とこれまで出会いましたが、ここまで熟考しながらも意思決定と行動力のある人やチームはいません。これからの未来に必要な組織はこういう組織なのだと思います。応援せずにはいられませんでした。
ーSOLITの株式のシステムは、短期的な利益追求という面では不利な条件ともとらえられると思います。そんな中、どうしてSOLITへの投資を決めてくださったのでしょうか?
田中さん(SOLIT代表)への気持ちが大きいです。メーカーで商品を売ることができる人はたくさんいるけれど、田中さんのように発信力があり、人をポジティブに巻き込みながら拡散していける人はなかなかいないと思い、期待を持ちました。あとは、自分がやっているビジネスと関連性があると感じたことも大きいです。
ー山本さんご自身はどのようなビジネスをされているのでしょうか?
廃棄の危機にある衣類や食品などの「在庫」と呼ばれる商品を買い取り、新たな価値を与え、再び市場へ送り出すということをしています。在庫を持たないというSOLITの姿勢と、在庫に新たな価値を与えるというわたしが行っているビジネスに親和性を感じました。
株式会社shoichi:https://shoichi.co.jp/
ー山本さんが投資をするかどうかを決める際の判断基準などがあれば教えていただけますか?
直感ですね。田中さんは「やりきる」んじゃないかなという感覚があったので応援したいなと思いました。
ー代表の田中が「やりきる」と感じてくださった理由を教えていただけますか?
やはり、ビジネスをする上で必ずどこかで挫折することはあるんですよね。そんなときに「次はこうしよう」とアイデアが浮かんできて実行できる人こそが強いと思っているんです。田中さんはそれができる人だと思いました。
ー山本さんが目指すべき社会とはどのようなものだと考えていますか?
例えば、障がいがある方においてもそれぞれ困っていることが違うと思うんです。その一人ひとりにフォーカスして設計するサービスや商品は、利益になりにくいから、なかなか事業化することは難しいと思います。それでも、SOLITのように、多様な人が自分に合うものを選んで注文できるという消費システムが浸透している社会は魅力的だと思います。
ーSOLITの現状について感じることや今後に期待していることはどんなことでしょうか?
会社を大きくしてもっと多様な人たちの生活を豊かにする商品を広めてほしいです。一人ひとりに合った商品をつくるには、応用力とそれに対する大きなモチベーションが必要だと思います。これは私の力だけでは限界があることなので、SOLITに期待しています。
互いに尊重しあうということ
わたしたちは、ある概念に違和感を感じたときや前例のないことに挑戦するときは、既存の枠組みに捉われずに自分たちで新しい概念を作り出すことや、既存の概念をアップデートできないかと考えることをしています。「やさしい株式」のシステムもその一つで、オールインクルーシブな社会における株式のあり方を考え、新たに「やさしい株式」という概念をつくることにしました。
今回インタビューをさせていただいたお2人が、そんな「やさしい株式」のシステムに、共感してくださった上に、自分自身の想いをのせて「投資をする」という大きな決断をしてくださったことに大変嬉しく感じました。
資本や経営の面で力を貸してくれる株主がいて、時間や知識の面で力を貸してくれるメンバーがいたからこそ、SOLITはここまで来ることができました。
これからもわたしたちは、既存の概念に捉われずに挑戦をし続けていきたいと思っております。