SOLITのDE&I研修とは? ― 学ぶだけで終わらない、「体感し、対話し、自分ごとにする」研修 ―

SOLITのDE&I研修とは? ― 学ぶだけで終わらない、「体感し、対話し、自分ごとにする」研修 ―

目次

“文化”を変えるDE&I研修とは?

「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」という言葉は広まりつつありますが、実際に職場でどう実践すればいいのか――その答えを見いだせずにいる企業も少なくありません。

従来のDE&I研修は、「知識を得る」「対処法を学ぶ」といったインプット中心のものが多く、表面的な理解にとどまり、実際の組織変革につながりにくいという課題があります。

DE&Iを真に根づかせるために必要なのは、知識ではなく“創造のプロセス”です。SOLITの研修は、その“創造過程”をデザインすることから始まります。

「研修」ではなく、「変化のきっかけ」をデザインする

SOLITのDE&I研修は、単に“学ぶ”ための場ではありません。組織の空気を変える“きっかけ”を生み出すことを目的としています。"学ぶ"だけでなく、"体感し、対話し、自分ごとにする"ことを大切に。障害のある方、セクシュアルマイノリティ、外国籍の方など、さまざまな当事者とともに議論し、多角的な視点から課題の根源を深掘りすることで、組織としての創造的な協働を促します。

DE&Iは特定の部署だけのものではなく、組織全体の文化づくり。異なる視点が交わることで、新しい発見やイノベーションが生まれます。SOLITは、企業ごとの課題やフェーズに寄り添いながら、DE&Iを理念から実践へとつなげる伴走を行っています。

短期的な成果を求めるのではなく、対話を通じて深い理解と本質的な変化を生み出す。それがSOLITの信じる、DE&I推進のかたちです。

ファシリテーターの「いしいし」こと石井が笑顔で右を向いて座っています。右手には白杖を持っています。

SOLITのDE&Iプログラムの特徴

1. 知識ではなく、“気づき”をデザインする

教科書的な「正しい理解」ではなく、現場のリアルな声や経験を通して、“自分ごと”としての気づきを引き出す構成になっています。日々の業務や意思決定の中にある無意識の偏りや壁に気づくことで、行動の変化が自然と生まれます。

2. 当事者と企業が共につくる、共創型プログラム

私たちが大切にしているのは、「誰かが教える」研修ではなく、当事者と企業が一緒に最適解を探す対話のプロセス。 障害当事者や外国籍メンバーなど、多様な視点を持つファシリテーターが企業の現場に入り、リアルな経験をもとに対話をリードします。そこには「正解」はありません。共に考え、気づき、行動を試すことで、その企業ならではの“あり方”を見出していきます。

3. 制度ではなく、“空気”を変える

DE&Iを推進する上で必要なのは、新しい制度や施策をつくることだけではありません。SOLITの研修では、一人ひとりの意識と関係性を変えることで、組織に流れる“空気”そのものを変えていくことを目指します。日常のコミュニケーションやチームのあり方を見直すことから、自然と文化の変化を生み出していく。それがSOLITのアプローチです。

こうした考え方をもとに、2024年には国内外で不動産開発事業をされている株式会社リビングコーポレーション(以下、LC社)と共に、3ヶ月にわたる体感型DE&Iプログラムを実施しました。以下では、その研修のプロセスと変化の様子を紹介します。



リビングコーポレーションでの研修 

3ヶ月でチームの視点が変わる体感型プログラム

2024年10月〜2025年1月にかけて、LC社にて、全4回(うち1回は社内で主導いただくワークショップ)にわたるDE&I研修を実施しました。今回の研修は、LC社から「多様な価値観を組織の力に変えていくために、まず“自分たちの内側”から変わるきっかけをつくりたい」というご相談をいただいたことがきっかけでスタートしました。

参加者はLC社のダイバーシティ研究会メンバー12名(オンライン参加4名を含む)。営業、設計、工事など、部署を横断したチームでの研修となりました。「住まい」を提供する企業として、多様な入居者や働く人々の視点を深く理解し、より良いサービスや職場環境を生み出していくことを目的としたプログラムです。

研修概要と実施メンバー

今回のプログラムは、SOLITから以下のメンバーが担当しました。
多様な背景を持つ当事者メンバーと共に、実際の現場体験を通して学びを深める構成としています。

研修担当者・ファシリテーター

  • 田中美咲(PROJECT SOLIT代表)― プログラム全体の設計と監修を担当
  • 和田菜摘(PROJECT SOLIT 研修企画)― 各回の進行、プログラム全体の設計と監修を担当
  • 石井(視覚障害当事者/ファシリテーター)― 各回の進行、体感ワーク・対話セッションのリード
  • 丸山(車いすユーザー)― 当事者視点からのコメント・議論サポート
  • コレバ(在日外国人)― 当事者視点からのコメント・議論サポート

それぞれが異なる視点から研修に関わることで、より多角的な気づきを促す場を設計しました。

研修設計の背景

限られた期間・予算の中で最大限の気づきを得るために、4回構成のプログラムとして設計。導入段階で、LC社の人事・経営陣に対して、どんな悩みやゴールを持ってこの研修を依頼したのかを丁寧にヒアリングしました。「何を学ぶか」ではなく、「なぜ今、それを必要としているのか」から共に整理していくことを重視しました。

第1回:ビジョンクエスト:視覚を遮断して見えてくるもの

初回は、視覚情報を遮断した状態で他者と協働する“ビジョンクエスト”からスタート。視覚情報を遮断し、声や言葉のトーンだけを頼りに対話することで、普段見過ごしている“感覚”や“前提”に気づきをもたらします。

  • 他人の視線や顔色を気にせず、本音で話せる
  • 「分かったつもり」を排除し、真に理解しようとする姿勢が生まれる
  • 声や言葉の重み、選び方に敏感になる

体験後には「普段どれだけ視覚に頼っていたか」「相手を信頼する大切さを実感した」との声も。このセッションを通じて、“DE&Iは自分とは関係ない”という認識から抜け出し、自分ごととして捉える土台が生まれました。

ビジョンクエストの4人の参加者が黒いアイマスクをして対話しています。

第2回:自社のプロダクトやサービスを多様な視点で捉える現場フィールドワーク ― “住まい”を多様な視点で見直す

第2回では、LC社が管理する物件を実際に訪れ、当事者とともに「住まいの体験」を検証しました。LC社は不動産を開発・管理する企業のため、今回は実施にLC社が管理する物件を使用し、1時間ほどの観察・体験を実施。参加者は「物件内」 と 「物件外」 の2チームに分かれ、それぞれのチームにはSOLIT/当事者メンバーが伴走し、現場での気づきを言語化するサポートを行いました。

▼物件内チーム

  • 室内の段差、扉幅、浴室やトイレの使い勝手をチェック
  • 車椅子ユーザーの丸山や視覚障害者の石井と一緒に、実際の動線を検証
  • 「設計意図」と「利用者体験」のギャップを議論

▼物件外チーム

  • 最寄駅から物件までのルートを実際に歩き、経路上のバリアを体感
  • 「地図上では近いのに、たどり着けない」「看板の配置がわかりにくい」といったリアルな声を収集

フィールドワーク後は、「気づいた点」「改善できそうな点」「すぐ実践できること」などを書き出し、それらを全員で共有・相互コメント。単に課題を並べるのではなく、「なぜそれが起きているのか?」「自社文化にどう関係しているか?」を掘り下げ、構造的な視点で改善を考える時間となりました。

第3回:ダイアログ― LC社らしいDE&Iを描く

最終回は、これまでの気づきをもとに、「LC社らしいDE&Iの形」を描く対話型セッションを実施しました。ファシリテーションは和田と石井が担当し、第2回で出てきた意見をもとに、チームごとにディスカッションを行いました。

「現実的な課題解決」だけでなく、「こんな会社になれたら」という理想から逆算して考える。その中で、「色覚多様性に配慮した図面デザイン」や「ユーザー体験レビューを設計段階に取り入れる仕組み」など、実現性と理想を行き来するアイデアが多く生まれました。異なる立場や価値観が交わる中で意見もありましたが、そのプロセス自体がDE&Iの実践。多様な視点が融合し、普段の会議では生まれない創造的な議論が展開されました。

その結果、「段差をなくす」といった構造的な改善案にとどまらず、「現場の声を設計段階で取り入れるプロセスをつくる」など、仕組みや文化の改善アイデアも多く生まれました。「ユーザーの声を聴く」ではなく、「ユーザーの立場に立って感じる」ことで、メンバーからは「共感だけでなく“行動”につなげるには何が必要か」を自然に考える姿勢が生まれていました。

参加者の声

普段、自分の考えや他部署の人と意見を交わすことが少ないですが、外部の方々とディスカッションをすることで、考えを深めることができました。特に、視覚障害者や車椅子ユーザーの方の視点を聞くことで、自分たちの設計やサービスの盲点に気づくことができました。

これまでダイバーシティを意識する機会は少なかったのですが、今回の研修を通じて、例えば『分電盤の高さを調整する』『スイッチのオンオフが分かりやすい製品を選ぶ』といった具体的な改善策を考えることができました。

募集図面や物件情報の伝え方を工夫することで、障害のある方だけでなく、より多くの人にとって使いやすいものになると気づきました。例えば、色覚異常の方にも見やすいデザインにする、入居者用のマニュアルを多言語対応にするなど、すぐに取り組めることがあると感じました。

『誰かのためにやる』のではなく、『自分ならどうするか?』と考えることが大事だと気づきました。例えば、障害のある方にとって住みやすい環境をつくることは、結果的にすべての人にとって住みやすい環境につながると実感しました。

「今回の学びを活かし、今後は物件開発の際にインクルーシブデザインの視点を取り入れたり、入居者同士のコミュニティづくりを支援する仕組みを検討したいです。また、社内でもこうした視点を持つことの重要性を広めていきたいと思います。」

今回の学びを活かし、今後は物件開発の際にインクルーシブデザインの視点を取り入れたり、入居者同士のコミュニティづくりを支援する仕組みを検討したいです。また、社内でもこうした視点を持つことの重要性を広めていきたいと思います。

DE&I研修を終えて

DE&Iは“制度”ではなく“文化”をつくること

DE&Iは一度の研修で終わるものではありません。日々の対話と行動の積み重ねが、少しずつ組織の文化を変えていきます。LC社では、代表取締役社長も一部セッションに参加し、トップ自らが姿勢を示すことで、全社的な意識の変化を促しました。“学ぶ”だけでなく、“体感し、対話し、自分ごとにする”――そんなプロセスを通じて、LC社には確かな変化の兆しが生まれています。

あなたの組織でも、対話から“変化のきっかけ”を。

SOLITでは、企業ごとの課題やフェーズに合わせたオーダーメイド型DE&I研修を提供しています。「DE&Iをもっと実践的に学びたい」「制度ではなく文化として根付かせたい」そんな企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。SOLITは、“正解を教える”のではなく、“一緒に考える”研修を通して、組織の中に変化の種をまいていきます。

 

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