人と環境と共にあるための紙と印刷戦略

人と環境と共にあるための紙と印刷戦略

目次

森林は空気を浄化し、水を浄化し、そして野生動物を保護する。その多くの機能を持つ重要な資源であるのにもかかわらず、森林の減少は現在も続いています。

私たちSOLITは、誰もどれも取り残さない未来のため、資源保護に対する取り組みの一環として、印刷をしないことも提案される印刷・紙に関する専門家である伸和印刷株式会社と共にSOLITの事業活動に使用する紙資源の影響に対処するためのプログラムを実行しました。プログラムの設計は伸和印刷社が先導してくださり実施したものです。

 

紙の印刷事情、環境へのインパクト

紙の印刷における資源利用量や排出量を考える場合、印刷の紙・インク・輸送・廃棄など様々なプロセスにおいて考慮しなければなりません。例えば、印刷方法では主にオンデマンド印刷とオフセット印刷があります。オンデマンド印刷は、必要な数量だけ印刷するため、在庫を削減し、紙やインクの無駄を最小限に抑えることができるため、環境への負荷が低いと言えます。

一方で、大量の印刷に向いていると言われているオフセット印刷はインクと溶剤の使用が比較的多いため、大量印刷では効率的ですが、小ロットの印刷では、余剰の印刷物が出る可能性があり、紙やインクの無駄が生じます。また、製版や印刷工程におけるCO2排出量が比較的多い傾向にあります。

【保存版】森林資源使用量を減らすための紙と印刷チェックリスト

 

SOLITの印刷・紙利用の結果

今回の取り組みでは、2023年のSOLITの事業活動における印刷物のデータを全て伸和印刷社に共有し、Paper Calculator というツールを利用し、データを算出いたしました。

この方法は、Patagoniaなどの企業も使用しており、原材料の採取や加工から廃棄物処理までのライフサイクル段階に関連する環境への影響を可視化することが可能です。しかし、GHG(温室効果ガスの排出量)のデータについてはPaper Calculatorではなく、別途、環境省が発行している資料「サプライチェーン排出量算定の考え方」に基づいて計算しています。

印刷における環境負荷を想像させる、木のチップの写真

紙および、印刷の排出量、輸送、配送で配送時の排出量、事業活動からでる排出量で紙くずの排出量をすべて考慮し計算しています。また、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースを元に排出原単位は計算しています。

1)SOLITの印刷物の属性例

  • 契約書・証明書、納品書、その他事務的書類
  • 商品パンフレット・指南書
  • ポストカード・購入者様用メッセージカード
  • 広告用チラシ
  • 展示用のパネル・イベントご案内用ポスター
  • 商品用POPカード
  • 梱包用シール
  • スティッカー
  • 名刺

2)2023年、SOLITの印刷物における環境へのインパクト

以下文章に記載の文字を画像にも表したもの

  • 成木 0.6本
  • 総エネルギー量 60万
    (冷蔵庫0.7個が1年間稼働した分程のエネルギー)
  • GHG 238kg
  • 使用水分量 1873L
  • 総排出量 12.38kg

 今回ご一緒した伸和印刷によると、一般的なアパレル企業・中小企業・スタートアップと比較しても比較的環境への影響は少なく、現状の取り組みを実行することで、すべての項目で大幅に環境負荷を抑えているとのこと。特に、この理由としては、SOLITが常に環境に配慮するための意思決定を日々の業務の中に取り入れていることから、

  • 印刷が必要になった時点で、デザインありきではなくページ数や綴じ方を環境の側面から考慮してからデザインを開始している
  • 元々再生紙・バガス等を利用し、森林資源の少ない紙を利用している
  • 印刷方法がオンデマンド印刷で、必要以上に紙が必要とならない
  • 作成している数も必要な分だけの印刷を徹底している
  • デジタルサインなど契約書類はデジタルデータで完結している

特に、チラシ・パンフレットの最低限の印刷、納品書を必要最低限の詳細に抑えるということが挙げられます。

3)印刷物におけるSOLITのCO2排出量内訳

また現状、SOLITのCO2排出量の内訳(%)が以下のようになりました。

この中でもSOLITとしてコントロール可能な部分は、紙と配送の部分です。これらに関して、改めて方針を考え直し、以下のことを取り組んでまいります。

 

今後の方針

SOLITにおける今後の取り組みとして、

  1. 木の利用量を減らす
    不必要な印刷を減らし、必要な場合は再生紙の利用を増やす
  2. 利用重量を減らす
    軽い紙、小さい判形、少ないページ数、紙の利用量の少ない綴じ方
  3. オンデマンド印刷の継続
  4. 移動距離を減らす
    地産地消型印刷
  5. 変形サイズの作成を控える*

例として、紙を1段階薄く、できる限り再生し比率60%の再生紙を利用し、近郊の印刷会社で印刷した場合、木の利用量を約60%、CO2発生量を10%減らすことが可能です。

*「5.変形サイズの作成を控える」に関して、いわゆる規格サイズとして設定されているA4やA5などは、印刷する際に無駄の出ないように設計されています。しかし、規格サイズではない大きさや形状で印刷すると、少しサイズが異なるだけで必要な紙の数が倍になるということになる場合が有ります。このことから、できるだけ規格サイズで印刷することで紙資源の利用を最小限に抑えることができるでしょう。

今後の取り組みに関するSOLITの方針の詳細はこちらからご覧いただけます。

終わりに

紙の印刷に限らず、データを取ることでどの程度の資源を消費しているのか、廃棄物の量やCO2排出量など可視化し、ネクストアクションに繋げることができます。より環境、社会によいインパクトを残すために自社の取り組みをデータを通して可視化すること、そのデータから自分たちのアクションを分析・改善し続けることの重要性を改めて理解したプログラムとなりました。

改めて、印刷物見える化方針書作成プロジェクトの設計、実行をしていただきました、伸和印刷株式会社様のご協力感謝いたします。

 

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