ファッションにおけるサーキュラーエコノミー実践

ファッションにおけるサーキュラーエコノミー実践

目次

“NO MORE WASTE FOR OUR PLANET,  ONLY FOR YOU, THAT IS ENOUGH.” 必要とする人に、必要とされている物を、必要とする分しか作らない。

私たちSOLITは、生産の仕組みとして「インクルーシブデザイン」「セミオーダー」「受注生産」という方法を選択しています。

これは、この世界でたくさんの服が生まれ、生まれては廃棄されを繰り返している現状と、それでいて今ある服の多くは多様なニーズに応えきれておらず、選択肢が少ない人が存在するといった、たくさんの課題が山積みとなったファッション業界で、新たなチャレンジをする身としての私たち責任でもあります。そして、それでもなおファッションを通して実現できる課題解決や新たな未来があることを信じている証でもあります。

私たちの生み出し方

多様な人も、動植物や地球も含め、誰も・どれも取り残さない「オール・インクルーシブ」な世界を目指し活動する私たちSOLITは、その第一弾として「衣服」からその実現を目指しています。

企画の段階から多様な人が参画

障がいやセクシュアリティや体型の違いを超えて、できる限りだれでも着られるように、SOLITの服は開発しました。いろいろな声や目線を取り入れるため、企画やデザインの段階からたくさんの方に参加していただいています。

低身長・車椅子ユーザー・片麻痺の方・下半身肥満・胸の大きい方・アトピー性皮膚炎の方・セクシュアルマイノリティーの方・いかり肩の方・痩せ体型の方・筋肉質の方・リハビリテーション医・鍼灸師・理学療法士・作業療法士・デザイナー・パターンナー・ファッション評論家...etc

そして何十回という試作・試着を繰り返し、多様な体型や、さまざまな価値観の方に意見をうかがいながら作ることで、ようやく完成したのが今のプロダクトです。そしてSOLITのアイテムは、いまだに日々アップデートされ続けています。

固定の形は多様な人には合わない

あたりまえのことではありますが、一つの形状に終始することは、誰かにとっての可能性を除外してしまったり、勝手な価値観の押し付けをしてしまうことにつながるとおもっています。SOLITでは、ベースとなるプロダクトのデザインは「だれでも着られる」という機能面での課題解決がされた形状にしつつも、「着たい」ものはその中でカスタマイズすることで自分で選択できることを重要視しました。

これが、SOLITがSNSなどでよくお伝えする
「着たい」も「着れる」も実現するという考えに基づいた仕組みです。

セミオーダーで自分が選択する

SOLITのプロダクトはどれも、部位ごとにサイズや形、仕様や長さなど、それぞれの好みや身体にあわせて「自分で選べる」ようにしています。

選び方によって1600通り以上の選択ができ、身体にぴったりにしてもいい、オーバーサイズでもいい、右腕だけすごく大きくして、あとは小さくしたスタイルにしてもいい……という、それぞれの好みを反映できる余白を作るようにしました。

既存のオーダーメイドやセミオーダーの仕組みは、ぴったりのサイズをみつけて依頼することが多いですが、SOLITではそうした「自分が望むこと」も自分で選ぶことができます。
この1つ1つ、自分の身体や好みを見つめ直す時間こそが、服との対話になり、自分への気づきになり、その時間が豊かであるほど長く使い続けられる好きな服に変わっていくのだと信じています。

インクルーシブデザイン×セミオーダー×受注生産の可能性

冒頭でもお伝えしたように、現在ファッション産業では年々衣服の生産量は増加する一方、廃棄量も増えていることは多くのメディアや政府からのデータでも明らかです。これからの未来や、地球環境を考慮するならば、これ以上「大量生産大量廃棄」のモデルを加速させることなく、「不必要なものを生み出さない」ことが必要であることは十分に考えられます。

最近では、廃棄されるものから再生された素材を活用した衣服や、リサイクル・シェアリングエコノミーなど1度生まれたものの寿命を伸ばす仕組みがたくさんでてきました。こうして環境にも配慮された選択肢が増えることを心待ちにしていたので、とても嬉しく思います。

そこからさらに踏み込み、生み出すほどより良い社会に、より環境にも人にもいいものになるにはどうしたらいいだろう、目指す世界に向けて 進むため、SOLITでは日々そう考えてきました。

そして行き着いたのが、「インクルーシブデザイン×セミオーダー×受注生産」です。要するに、必要とする人に、必要とされている物を、必要とする分しか作らないのが私たちの哲学です。

インクルーシブデザイン

高齢者、障がい者、外国人など、これまで企画・生産プロセスから除外されてきた多様な人々を、企画段階から巻き込む手法

セミオーダー

1人1人の要望から世界に一つだけのものをつくるフルオーダー・オーダーメイドに対し、予め決まったパターンの中から要望に沿うように選んでいく方式

受注生産

事前に生産して販売し、売れ残りが出る可能性のある既存の生産モデルとは異なり、依頼を受けてから生産を開始する、「依頼があるものだけが生まれる」生産手法。

できる限り多くの人が「着たい」も「着れる」も実現できるようにすること。
着たい服は数ある選択肢の中から自己選択ができること。
必要な分しか生み出さないこと。

この3つを同時に実現することは、多様な人も、動植物や地球も含め、誰も・どれも取り残さない「オール・インクルーシブ」な世界を目指し活動する私たちSOLITにとってとても大切な仕組みです。

サーキュラーエコノミー実践

このSOLITの取り組みは、企画段階から応援してくださっている、サーキュラーエコノミー研究家の安居 昭博さんが最近だされた著書「サーキュラーエコノミー実践: オランダに探るビジネスモデル」にも一部掲載されています。
サーキュラーエコノミー実践: オランダに探るビジネスモデル

サーキュラーエコノミーとは、「循環型経済」のこと。従来の資源を集め・つくり・捨てるという直線型のシステムではなく、そもそも廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組みのことを指します。

サーキュラーエコノミーの図
オランダ政府 From a linear to a circular economyより引用

これまでのファッション業界が、「たくさん資源を使い」「たくさん作って」「たくさん売って」「たくさん捨てる」という循環のされない仕組みできたところを、SOLITは、「必要とする人に、必要とされている物を、必要とする分しか作らない」と決めることで、廃棄される量を大幅に減らすことを実現しようとしています。

また、それでも使い続けると汚れたり、破れたり、さまざまな理由で使い続けられなくなっていくことも考えられます。もちろん、長く着続けるための「リペア」をはじめ、回収後のリメイクやリサイクル、研究開発のための参考資材として活用する準備を進めています。

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SOLITの服を着てみて、もう一緒にいられないなとおもったら、捨ててしまう前に、私たちに教えてください!

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